【防災士が解説】自己正当化バイアスが命取りになる|災害時に判断が遅れる理由

災害時、人は「冷静に判断している」と思っています。

しかし実際には、
心理的バイアスが判断を鈍らせることが
科学的にも確認されています。

防災心理学やリスク認知研究では、
危険を前にした人間は特有の心理傾向を示すとされています。

その代表が、
正常性バイアスと自己正当化バイアスです。


■① 正常性バイアスとは

正常性バイアス(Normalcy bias)とは、

「自分は大丈夫」
「今回はたいしたことはない」

と危険を過小評価する心理傾向です。

災害が迫っていても、
日常の延長で考えてしまう。

これが避難の遅れを生みます。


■② 自己正当化バイアスとは

自己正当化バイアスとは、

「避難しなかった自分の判断は正しかった」

と後から理由づけをしてしまう心理です。

例えば、

・雨は弱いからまだ大丈夫
・みんな動いていないから大丈夫
・前回も被害はなかった

これは冷静な判断ではなく、
心を安心させるための理屈です。


■③ 科学的根拠がある心理現象

これらの心理は、
防災心理学の分野で広く研究されています。

片田敏孝氏『災害文化論』や
内閣府防災白書などでも、

避難遅れの要因として
心理的バイアスの存在が指摘されています。

つまり、

「判断が遅れる」のは性格ではなく、人間の特性なのです。


■④ 被災地で実際に聞いた言葉

被災地派遣(LO業務)で現場に入ると、
必ず聞く言葉があります。

「ここまでになるとは思わなかった」

情報は出ていた。
警報も出ていた。

でも、
心が受け取れなかった。

それが心理バイアスの怖さです。


■⑤ 誤解されがちなポイント

「避難しなかった人が悪い」

そう単純ではありません。

正常性バイアスも
自己正当化バイアスも

誰にでも起きる現象です。

だからこそ、
気合や根性ではなく、
“仕組み”で補う必要があります。


■⑥ 判断を軽くする方法

おすすめは一つ。

迷ったら避難する、と事前に決めておくこと。

例えば、

・避難指示が出たら出る
・土砂災害警戒情報が出たら出る
・川の水位が基準を超えたら出る

基準を先に決めておけば、
自己正当化が入り込む余地が減ります。


■⑦ 自律型避難という考え方

自律型避難とは、

行政が強く言う前に、
自分で早めに動くこと。

心理バイアスに打ち勝つには、

「判断を軽くする知識」が必要です。

迷いを減らす準備が、
命を守ります。


■⑧ 不安を減らす防災へ

防災は恐怖を煽るものではありません。

不安を減らすためのものです。

準備がある人ほど、
避難の判断は早い。

それは、
心が安心しているからです。


■まとめ|心理バイアスは誰にでも起きる

正常性バイアスも
自己正当化バイアスも、

災害時に判断が遅れる理由として
科学的に確認されている心理現象です。

結論:
災害時は「迷ったら避難」をルール化し、心理バイアスが働く前に動くことが命を守ります。

防災士として感じるのは、
判断の遅れは弱さではないということ。

だからこそ、
知識で補い、
仕組みで守りましょう。


【出典】
内閣府「防災白書」
https://www.bousai.go.jp/

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