自律型避難は必要だと分かっていても、実際の現場ではなかなか動き出せないことがあります。防災の現場で見てきた中で感じるのは、「やる気がない」のではなく、「止めてしまう要因」が存在するということです。ここでは、自律型避難を阻む代表的な壁と、その乗り越え方を整理します。
■① 「勝手にやっていいのか分からない」
多くの住民が最初に感じるのがこの不安です。
解決策は明確で、自治体や避難所運営側が平時から「自律的な環境整備を推奨する」と発信しておくことです。許可されていると分かれば、人は動けます。
■② 「失敗したらどうしよう」という恐れ
間違えることを恐れる空気は、行動を止めます。
自律型避難では「床から離れればOK」「今より良くなれば十分」という基準を共有することで、失敗への恐れを減らせます。
■③ 「誰かがやるだろう」という依存意識
人が多いほど、誰かに任せてしまいがちです。
「気づいた人が一つやる」という文化を育てることで、行動が分散し、負担も減ります。
■④ 「前例がない」という思考停止
災害時に前例を探しても意味がありません。
前例ではなく「目的」に立ち返ることが重要です。寒さを防ぐ、眠れるようにする。その目的に合えば方法は自由です。
■⑤ 「声を出すのが怖い」
周囲の目を気にして動けない人も多くいます。
作業は一人で完結させず、「一緒にやりませんか」と声をかけることで、孤立感を減らせます。
■⑥ 「時間がない」という思い込み
避難初期ほど慌ただしく感じますが、環境整備を後回しにすると、後で何倍もの負担になります。
早めに手を動かすことが、結果的に時間を生みます。
■⑦ 行政・運営側のブレーキ
現場職員が自律型避難を理解していないと、「それはやらないでください」と止めてしまうことがあります。
職員研修やマニュアル整備が、住民の行動を後押しします。
■⑧ 小さな成功体験が一番の突破口
一つ作る、一人が楽になる。その成功が見えると、空気は一気に変わります。
自律型避難は、理屈より体験で広がります。
■まとめ|自律型避難は「環境づくり」で進む
自律型避難が進まない理由は、人の問題ではありません。
結論:
行動を止める壁を外せば、人は自然に動き出す
防災士として、最初は動けなかった避難所が、環境と声かけ一つで一変する場面を何度も見てきました。
自律型避難は強制するものではなく、「動きやすくする仕組み」を整えることで、必ず根づいていきます。

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