自治体BCP(業務継続計画)は、作ってあるだけでは災害時に機能しません。内閣府は、市町村向けの業務継続計画作成ガイドを公表しており、災害時でも行政機能を維持するためには、非常時優先業務の整理、必要資源の確保、参集体制、代替庁舎や電源・通信の確保まで含めて計画化する必要があると示しています。さらに令和7年版防災白書では、地方公共団体のBCP策定率は都道府県・市町村ともに100%に達している一方、受援計画は市町村で78.5%にとどまり、BCPと受援体制を一体で見直す重要性が示されています。 oai_citation:0‡防災ポータル
つまり、新年度の自治体BCP見直しで大切なのは、「計画書を更新したか」ではなく、発災直後に誰が・どこで・何を優先して動くかを、今年の人員体制と資源条件で現実的に回せる形へ直すことです。この記事では、その判断基準を“テンプレートの考え方”として整理して解説します。 oai_citation:1‡防災ポータル
■① まず結論として、自治体BCP見直しで最優先にすべきことは何か
結論から言うと、最優先にすべきことは、非常時優先業務を今年の体制でやり切れる量まで絞り直すことです。
内閣府の市町村向け業務継続計画作成ガイドでは、非常時優先業務の選定をBCPの中核として位置づけています。平時業務を全部続ける前提ではなく、災害対応業務と早期に再開すべき通常業務を選び、限られた職員・庁舎・電源・通信の中で回す考え方です。元消防職員として感じるのは、自治体災害対応で止まりやすいのは「仕事が多いこと」より「削る判断ができていないこと」です。私なら、BCP見直しでは
まず止める業務を決める
次に優先業務を絞る
最後に担当者と代替要員を決める
この順で考えます。 oai_citation:2‡防災ポータル
■② まず見直したいテンプレート項目① 「非常時優先業務」
BCP見直しのテンプレートで最初に置くべきなのは、非常時優先業務一覧です。
内閣府ガイドでは、災害対策本部運営、情報収集、避難所運営、救援物資、罹災証明、応援受入れなど、災害時に自治体が優先すべき業務の考え方が示されています。ここで大事なのは、業務名を並べるだけでなく、開始目標時間、担当課、代替担当、必要資源まで一緒に書くことです。私は、一覧表に
業務名
開始目標(3時間以内、24時間以内など)
主担当課
代替担当
必要資源(人・庁舎・電源・回線)
を入れます。その方が実務で使いやすいです。 oai_citation:3‡防災ポータル
■③ テンプレート項目② 「参集・要員確保」
次に見直したいのは、職員参集と要員確保です。
BCPは、庁舎が無事で職員が全員そろう前提では動きません。内閣府ガイドは、職員の参集困難や勤務継続の制約を踏まえた要員計画が必要だとしています。だから新年度見直しでは、
夜間休日の初動参集者
徒歩参集前提人数
参集できない場合の代替
長期化時の交代要員
を更新する方が現実的です。被災地派遣でも、強い自治体は「担当者名簿がある自治体」より、「欠員が出ても次が動ける自治体」でした。 oai_citation:4‡防災ポータル
■④ テンプレート項目③ 「庁舎・代替拠点・非常用電源」
三つ目に重要なのは、どこで業務を続けるかです。
内閣府ガイドでは、庁舎被災やライフライン停止を想定し、代替庁舎や非常用電源、情報システムの継続を考える必要があるとされています。だからテンプレートでは、
本庁舎が使える場合
本庁舎が一部停止した場合
本庁舎が使えない場合
の3段階で、代替場所と必要設備を書き分けた方が実務向きです。元消防職員としても、災害時は「本部をどこに置くか」で初動の質がかなり変わります。私は、庁舎配置図より先に「使えなくなった時の次点」を明記します。 oai_citation:5‡防災ポータル
■⑤ テンプレート項目④ 「通信・情報システム」
四つ目は、通信手段と情報システムの継続です。
内閣府の行政機関向けガイドライン案内でも、地方公共団体におけるICT部門BCPなど、情報システム継続の考え方が別途整理されています。つまり、自治体BCPでは、防災行政無線、庁内ネットワーク、住民情報、罹災証明システム、メール、衛星電話などを「平時の延長」で見ない方が安全です。私はテンプレートに
止まると致命的なシステム
代替運用(紙・簡易フォーム等)
復旧優先順位
を必ず入れます。その方が停電や回線障害時に迷いにくいです。 oai_citation:6‡防災ポータル
■⑥ テンプレート項目⑤ 「受援計画との接続」
ここは新年度見直しで特に重要です。BCPと受援計画を別物にしないことです。
令和7年版防災白書では、都道府県の受援計画策定率は100%ですが、市町村は令和6年4月現在で78.5%です。また内閣府の受援計画作成の手引きは令和7年4月最終改訂となっており、人的応援の受入れを中心に、受援窓口の一本化、活動場所、宿泊場所、任せる業務の選定などを具体化できるようひな形を示しています。つまり、自治体BCP見直しでは、応援が来る前提でどの業務を外部へ渡すかを入れないと、長期対応で詰まりやすいです。私はテンプレートに
受援窓口
受入れ優先業務
応援職員の活動場所
宿泊・食事・情報共有方法
をセットで入れます。 oai_citation:7‡防災ポータル
■⑦ テンプレート項目⑥ 「訓練・周知・改定履歴」
BCPは、書いた瞬間から古くなります。だから最後に必要なのが、訓練・周知・改定履歴です。
内閣府の受援計画作成の手引きでも、計画内容の職員周知と訓練実施によって受援体制の実効性を確保する必要があるとされています。BCPも同じで、年度更新のたびに
異動反映
連絡先更新
訓練実施日
見直し箇所
を記録した方が実務で使えます。被災地経験でも、強い自治体は「立派なBCPがある自治体」より、「毎年少しずつ直して訓練している自治体」でした。 oai_citation:8‡防災ポータル
■⑧ 今年の新年度に特に見直した方がいいポイント
新年度に特に見直した方がいいのは、次のような変化があった場合です。
大きな人事異動があった
庁舎再配置や組織再編があった
避難所運営や罹災証明の担当が変わった
非常用電源・通信設備の更新時期に入った
受援計画や地域防災計画を改定した
私は、これらの年は「BCP年次更新」ではなく「BCP再設計」に近いと考えます。特に組織改編後は、旧担当ベースの計画が残りやすいので危険です。 oai_citation:9‡防災ポータル
■⑨ 自治体BCP見直しテンプレートの最小構成
私なら、まず次の最小構成で見直します。
1. 非常時優先業務一覧
2. 参集・代替要員表
3. 庁舎・代替拠点・非常電源表
4. 通信・システム継続表
5. 受援接続表
6. 訓練・改定履歴
この6枚に絞ると、各課も更新しやすく、災害対策本部でも使いやすいです。防災では、「厚い計画書」より「すぐ開いて使える表」の方が強いです。これは被災地経験でもかなり実感しています。 oai_citation:10‡防災ポータル
■⑩ まとめ
自治体BCPの新年度見直しで大切なのは、今年の体制と資源条件で、非常時優先業務、参集、代替拠点、通信、受援、訓練までを一体で直すことです。内閣府の市町村向け業務継続計画作成ガイドは、非常時優先業務の整理や必要資源の確保を重視しており、令和7年版防災白書は市町村のBCP策定率が100%である一方、受援計画は78.5%であることを示しています。さらに、受援計画作成の手引きは令和7年4月最終改訂となっており、BCPと受援体制をつなげて見直す必要性が高まっています。 oai_citation:11‡防災ポータル
私なら、自治体BCP見直しで一番大事なのは「計画書を更新すること」ではなく「今年の自治体が、本当に動ける形に直すこと」だと伝えます。被災地でも、強かったのは完璧な文書がある自治体より、止める業務と続ける業務を現実的に分けられていた自治体でした。だからこそ、まずは優先業務、次に受援接続、最後に訓練。この順番で整えるのがおすすめです。
出典:https://www.bousai.go.jp/taisaku/chihogyoumukeizoku/pdf/H27bcpguide.pdf(内閣府「市町村のための業務継続計画作成ガイド」)

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