10~20歳代の約6%に、SNSの「病的使用」の疑いがある――。
これは、国立病院機構久里浜医療センターが厚生労働省依存症対策事業の一環として実施した調査(2025年1~2月実施、2026年2月公表・報道ベース)で示された数値です。
本記事では、
①確認されているデータ(事実)
②防災心理学で確立している理論
③元消防職員としての現場経験に基づく仮説的視点
この3つを明確に区別して整理します。
■① 若年層6%という事実
調査(無作為抽出9000人中、有効回答4650人)によると、
・10代:男性7.1%、女性7.5%
・20代:男性4.8%、女性5.0%
が「病的使用の疑い」に該当しました。
30代以上は0~1%台でした。
また、病的使用が疑われる人のうち約27%が、SNS利用を巡り家族に暴言・暴力を行ったと回答しています。
これらは2026年2月に公表された報告内容と報道に基づく事実データです。
■② 正常性バイアスは確立した概念
災害心理学には「正常性バイアス」という概念があります。
・自分は大丈夫
・まだ避難しなくていい
と危険を過小評価する傾向です。
これは学術的に確認された心理現象です。
ただし、
正常性バイアスの強さとSNS依存との統計的相関・因果関係は、現時点で確立したエビデンスは示されていません。
ここは明確に区別する必要があります。
■③ SNS依存と判断力の関係は「仮説」
元消防職員として被災地派遣(LO)を経験してきましたが、
混乱下では情報過多が判断遅れにつながる場面を何度も見ました。
しかし、
「SNS依存者は災害時に冷静な判断ができなくなる」
という因果関係が科学的に証明されているわけではありません。
したがって本記事では、
依存傾向が強い場合、判断に影響する可能性があるという防災上の仮説
として位置づけます。
■④ 現場経験は“主観的知見”として扱う
被災地で印象的だったのは、
助かった人の多くが「情報を絞れていた人」だったということです。
これは統計的研究結果ではなく、
あくまで現場経験に基づく主観的知見です。
科学的な一般化とは区別して受け取ってください。
■⑤ 依存の背景にある孤立と不安
久里浜医療センターは、SNS依存の背景に孤独や対人不安がある可能性を示唆しています。
孤立感や不安が強いとき、人は情報に過度に依存しやすくなります。
ここから言えるのは、
・孤立
・不安
・過剰な情報接触
が重なると、判断が難しくなる傾向があり得るという心理学的整合性です。
ただし、個別の因果関係までは断定できません。
■⑥ 防災としてできる現実的対策
エビデンスが完全でなくても、防災では「リスクを下げる方向」に動くことが重要です。
・通知を整理する
・災害時に参照する公式情報を決めておく
・家族で情報共有ルールを決めておく
これは依存の有無に関わらず有効です。
■⑦ 今日できる最小行動
・災害時は気象庁・自治体など公的情報を最優先
・「今すぐ拡散」は一旦止まる
・就寝前のスマホ時間を見直す
小さな行動が、判断力の維持につながります。
■⑧ まとめ|事実と仮説を混同しない
本記事の整理は以下の通りです。
■若年層6%という数値 → 事実(調査データ)
■正常性バイアスの存在 → 確立理論
■SNS依存と災害判断力低下の関係 → 合理的仮説(未確立因果)
ここを混同しないことが重要です。
結論:
データは事実として受け止め、仮説は仮説として理解しながら“判断力を守る行動”を選ぶことが、防災力を高めます。
被災地で何度も感じたのは、
最終的に人を守るのは情報量ではなく「落ち着いて選ぶ力」でした。
スマホ時代の防災は、
事実と推論を見分ける力そのものが備えになります。
【出典】
国立病院機構久里浜医療センター
「SNS等の病的使用に関する実態調査報告書」
(厚生労働省依存症対策事業、調査実施:2025年1~2月/公表:2026年2月)
※一次資料は同センター公式サイト掲載報告書を参照

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