災害時に音楽が役立つと言っても、「実際の被災地ではどう使われていたのか」はあまり語られません。現場では、特別な演出や大きな音ではなく、生活の中に溶け込む形で音楽が使われていました。この記事では、被災地経験を踏まえ、実際に役立っていた音楽の使われ方を整理します。
■① 個人が静かに使う「一人用の音楽」
被災地で最も多かったのは、イヤホンを使って一人で静かに音楽を聴く使い方です。不安が強いとき、周囲の雑音から少し距離を取るために使われていました。派手さはなく、短時間だけ聴く人がほとんどでした。
■② 夜の不安をやり過ごすための音楽
夜間の避難所では、眠れない時間をどう乗り切るかが大きな課題でした。被災地では、眠るためというより「夜を無事にやり過ごす」ために音楽が使われていました。一定のリズムがある音が、時間の流れを感じさせてくれます。
■③ 子どもを落ち着かせるための環境音
子どもが不安定になったとき、童謡や環境音を小さく流すケースもありました。歌わせるためではなく、「空間をやわらげる」目的です。被災地では、音楽そのものより、場の雰囲気が変わることが重要でした。
■④ 高齢者の会話を引き出すきっかけとして
高齢者が多い避難所では、懐かしい雰囲気の音楽が会話のきっかけになることがありました。「昔よく聴いた」「若い頃を思い出す」といった自然な会話が生まれ、孤立感の軽減につながっていました。
■⑤ 行政や支援者が使う「時間の区切り」
被災地では、体操や簡単なレクリエーションの前後に短く音楽を使うことがありました。これは盛り上げるためではなく、「今は体を動かす時間」「今は休む時間」と切り替える合図として使われていました。
■⑥ 音楽を「流さない」判断も含めた使い方
すべての避難所で音楽が使われていたわけではありません。あえて音楽を使わない判断がされていた場所もあります。被災地では、「使う・使わない」を状況に応じて選ぶ柔軟さが重要でした。
■⑦ 特別な曲より「日常に近い音」
被災地で役立っていたのは、特別な応援歌や有名な曲ではありませんでした。普段の生活に近い、主張しない音です。生活感のある音楽は、「日常が完全に失われていない」という感覚を支えていました。
■⑧ 音楽は前に出ず、生活を支える存在
現場で感じたのは、音楽は主役にならない方がうまく機能するということです。心を無理に動かさず、そっと支える。被災地で役立った音楽の共通点は、「静かで、控えめで、選択できる」使われ方でした。

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