【防災士が解説】見落としがちな「衛生用品のローリングストック」|災害時に本当に困るのは“水と清潔”

防災と聞くと、水や食料、ライトや電源を思い浮かべる人が多いですが、意外と見落とされがちなのが「衛生用品のローリングストック」です。災害時はケガや体調不良だけでなく、断水・避難生活・片付け作業などで“清潔を保てない状況”が長引きます。

被災地派遣やLOとして現場に入った際、目立つのは大きな被害ですが、生活をじわじわ削るのは「衛生の崩れ」でした。手が洗えない、傷が悪化する、トイレ環境が悪い。これが続くと体力も気力も落ちます。衛生用品は地味ですが、耐災害力(生活が壊れにくい力)を底上げする重要アイテムです。


■① ローリングストックは食品だけじゃない

ローリングストックとは、使った分だけ補充して一定量を保つ備え方です。食品では浸透していますが、衛生用品にもそのまま応用できます。

  • 絆創膏やガーゼ
  • ウェットティッシュ
  • 使い捨て手袋
  • 生理用品や簡易トイレ

これらは「ある」だけでは意味がなく、「使える状態」であることが大切です。


■② 使用期限があるものは“書いておく”が正解

絆創膏や冷却シート、使い捨てカイロなどは使用期限があります。期限を過ぎると粘着力の低下や個包装の劣化が起き、衛生状態が保てなくなる可能性があります。

おすすめはシンプルです。

  • 個包装の上に油性ペンで使用期限を書く
  • サイズごとに密封袋へまとめる
  • 防災リュック用と在宅避難用を分ける

元消防職員としての実感ですが、災害時の軽傷は想像以上に多いです。ガラス片、倒れた家具、片付け作業。絆創膏1枚の有無が感染リスクを左右します。


■③ 使用期限がないものは“状態管理”がカギ

マスク、綿棒、ポケットティッシュなどは期限表示がないこともあります。しかし、

  • 変色していないか
  • 湿気で劣化していないか
  • 個包装が破れていないか

これを定期的に確認するだけで安心度が変わります。目安として「毎年1回」「3年ごと」など自分で期限を決めて箱に書いておくと管理しやすくなります。


■④ 災害時に本当に役立つ衛生用品リスト

防災リュックで特に見直しておきたいのは次のアイテムです。

  • 使い捨て手袋(ニトリルなど)
  • ウェットティッシュ・清拭シート
  • 生理用品・簡易トイレ(個包装)
  • 包帯・テーピングテープ
  • 消毒液やアルコールジェル

被災地派遣の現場でも、断水時は「手袋」が非常に役立ちました。トイレ処理、片付け、応急処置。手袋があるだけで感染リスクが大きく下がります。


■⑤ “箱のまま保管”か“持ち出し仕様”かを分ける

在宅避難用は箱のままでも問題ありません。しかし、持ち出し用は軽量化と整理が必要です。

  • かさばる箱は外す
  • 個包装に期限を書いて圧縮
  • 密封袋にサイズ別収納

このひと手間で、避難時の動きが速くなります。


■⑥ よくある誤解:「使わなければ減らない」は危険

衛生用品は使わなければ減りませんが、劣化は進みます。防災の基本は「使って回す」です。

  • 古いものは日常使いへ
  • 新しいものを補充
  • 常に一定量をキープ

これは食品と同じ原理です。


■⑦ やらなくていい防災:完璧を目指さない

全部を一気に揃え直す必要はありません。

  • 今日は絆創膏だけ確認
  • 来週は手袋だけ補充
  • 月1回、1項目だけチェック

継続できる仕組みが最強です。


■⑧ 今日できる最小行動

今すぐできることは3つです。

  1. 防災リュックの絆創膏の期限を見る
  2. 手袋が入っているか確認する
  3. ウェットティッシュを1パック追加する

これだけで衛生の安心度は一段上がります。


まとめ

衛生用品のローリングストックは、目立たないけれど災害時の生活を支える重要な備えです。ケガ・感染・断水による不衛生は、体力と気力を確実に奪います。使用期限の確認、個包装への記載、定期チェック。この小さな習慣が、避難生活を大きく左右します。

結論:
防災は「食べる」だけでなく「清潔を保つ」までがワンセット。衛生用品を“使える状態で回す”ことが、本当のローリングストックです。

被災地派遣・LO・元消防職員・防災士としての実感でも、最後に効いたのは派手な装備ではなく、清潔を保てる家庭でした。まずは1つ、今日確認してみてください。


出典

内閣府 防災情報のページ「家庭でできる防災対策」
https://www.bousai.go.jp/kyoiku/minna/

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