はじめに
豪雨のとき、いちばん難しいのは「いつ・どこへ・どの高さまで動くか」です。
早すぎれば空振りに感じるし、遅れれば取り返しがつきません。
それでも実際に、高台移動の判断が浸水回避につながり、「あれは正解だった」と納得できる人がいます。
この記事では、その判断を“運”にしないための基準を、行動に落ちる形でまとめます。
■① 結論|豪雨は「水が来てから」では遅い。動くなら“前兆の段階”で高台へ
洪水・内水氾濫は、目で見えてから一気に状況が変わります。
だから結論はこれです。
- 高台移動は「道路が生きているうち」に終える
- “水が見えたら”は、すでに遅いことがある
- 迷う時間を減らすために、移動条件を先に決める
豪雨は「様子見」が最大の敵になります。
■② 高台移動が正解だった納得体験が生まれる瞬間|水位より先に“動けなくなる”
高台移動で「行ってよかった」と確信しやすいのは、こういう場面です。
- 数十分で道路が冠水して車が止まる
- 側溝・用水路が溢れて歩行が危険になる
- 夜になって水面が見えず、足元が読めなくなる
- 迂回路が塞がり、避難ルートが一本死ぬ
洪水は「水が怖い」より、「移動手段が奪われる」方が早く起きます。
納得できる人は、ここを見ています。
■③ “高台”の意味を間違えると詰む|高さより先に確認すること
「高台=高い場所」と思いがちですが、豪雨では“高いだけ”だと危険が残ります。
- 川の近くの堤防上:越水・決壊時に逃げ場がない
- 崖の近くの高台:土砂災害で詰むことがある
- 地形的に袋小路の高台:帰れない・出られない
豪雨の高台移動は、次の優先順位で考えます。
1) 水から離れる(川・水路・低地から離脱)
2) 土砂の危険を避ける(斜面・崖・谷筋を避ける)
3) ルートが複線化できる場所(行き止まりを避ける)
■④ 高台移動の判断基準|「この条件なら動く」を1枚にする
迷いを減らす一番の方法は、条件で決めることです。
家庭内の“発動条件”は、次のようにシンプルにできます。
発動条件(例)
- 自治体が「高齢者等避難」以上を出したら動く
- 警戒レベル4(避難指示)が出たら迷わず動く
- ハザードマップ上、浸水想定区域に住んでいる場合は“早めに動く”
- 夜(暗くなる前)をタイムリミットにする
ポイントは「避難指示が出たら動く」だけにしないことです。
豪雨は、出る前に危険化することがあります。
■⑤ 高台移動のコツ|“縦に逃げる”と“横に逃げる”を使い分ける
豪雨では避難の型が2つあります。
横に逃げる(高台へ移動)
- 低地から離れられる
- 浸水が広がっても安全圏に入りやすい
縦に逃げる(垂直避難:建物の上階へ)
- すでに外が危険、移動が難しい場合の現実解
- ただし「建物が安全」「土砂リスクが低い」ことが条件
高台移動は万能ではなく、道路が死ぬと成立しません。
だから、平時に「横がダメなら縦」を決めておくと判断が速くなります。
■⑥ 被災地派遣で見たリアル|水は“じわじわ”じゃなく“急に”来る
被災地支援(LO)として入ると、豪雨の現場は「思ったより早い」が連発します。
住民側は「まだ大丈夫」と感じているのに、行政側は冠水情報や通行止め情報を見ていて、すでに避難の窓が狭くなっている。
元消防職員として現場対応の感覚で言うと、豪雨は“逃げる判断”より“逃げるタイミング”で勝負が決まります。
高台移動が正解だった家庭は、だいたい「暗くなる前」「道路が生きているうち」に動けています。
■⑦ やらなくていい防災|川を見に行く・水路を見に行くは一発アウト
豪雨のとき、やらなくていいこと(やると危険)は明確です。
- 川・用水路・アンダーパスを見に行く
- 冠水している道に車で入る
- “あとで片付ける”ために外に出る
- 様子見で夜まで粘る
高台移動で納得できる人は、「見に行かない」「迷わない」を徹底しています。
■⑧ 今日の最小行動|“高台移動の正解”を自分の家に合わせて作る3つ
1) ハザードマップで「浸水想定」と「土砂」を確認する
2) 高台候補を1つ決めて、行き方を家族で共有する(昼に一度だけ歩く)
3) 発動条件を1行で決める
例:「暗くなる前に、警戒レベル3以上で高台へ」
まとめ
豪雨・洪水で高台移動が正解だったと納得できるのは、運ではなく条件の整理ができているからです。
- 水が見えてからでは遅いことがある
- “動けなくなる前”に高台移動を終える
- 高いだけの場所を選ばず、水と土砂の両方を見る
- 横が無理なら縦(垂直避難)を用意しておく
出典
国土交通省「ハザードマップポータルサイト」
https://disaportal.gsi.go.jp/

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