はじめに
地震や豪雨のあと、車中泊(車内避難)は一気に増えます。
避難所が合わない人、ペットがいる人、家が不安な人にとって車は現実的な選択肢です。
でも現場で多かった失敗が、
- エンジンを回し続けて暖・冷房
- 近くで給油できると思い込む
- 渋滞・品切れ・停電でスタンドが機能しない
- 気づいたらガソリンが減って、動けなくなる
という「燃料枯渇で詰む」パターンです。
この記事は、車中泊の最大リスクを“燃料設計”で潰します。
■① 結論|車中泊の燃料は「使う前提」ではなく「減らさない前提」で守る
災害時のガソリンは、暖房の燃料ではありません。
移動・退避・充電の“最後の命綱”です。
だから車中泊の最優先ルールはこれ。
- エンジンは基本オフ
- どうしても回すなら短時間・目的限定
- 退避できる燃料を残す
燃料は「快適のため」より「生存と離脱のため」です。
■② 現場で多かった失敗|“ちょっと回す”が積み重なって枯れる
典型的な流れはこうです。
- 暑い/寒い → エンジンを回して快適にする
- スマホ充電も車でやる
- 夜も回して眠る(安全だと思う)
- 翌日、給油しようとしてもスタンドが混乱
- ガソリンが減って、移動できない
- 体調悪化・孤立・情報不足が重なる
怖いのは「一気に減る」より、
“少しずつ使って気づいたら詰む”ことです。
■③ なぜ給油できない?|災害時のスタンドは止まりやすい
災害時は、普段の“給油できる”が崩れます。
- 停電でポンプが動かない
- 渋滞でたどり着けない
- タンクローリーが来ない
- 品切れ
- 一時閉鎖(安全確認)
- 行列が数時間〜半日
「近いから大丈夫」ではなく、
“機能していない可能性”を前提にします。
■④ まず守るべき「燃料の底」|これ以下に落とさない
車中泊をするなら、最低ラインを決めます。
- 原則:燃料計が半分を切ったら、車中泊は“危険モード”
- 目標:満タンを基本(難しいなら7割以上)
そして一番大事なのは、
半分を切った状態でエンジンを長時間使わないこと。
“減らさない”が勝ちます。
■⑤ エンジンを回すなら「目的・時間」を固定する
どうしても回すなら、ルールを固定します。
- 目的:体温調整 or 充電だけ
- 時間:10〜15分単位で区切る
- 回数:一晩で何回まで、と決める
- 充電:モバイルバッテリーを優先
エンジンは「つけっぱなし」が一番ダメです。
“短時間・区切り”が燃料と安全を守ります。
■⑥ もう一つの落とし穴|排気ガスと一酸化炭素(CO)
車中泊で命に関わるのは燃料だけではありません。
- 雪でマフラーが塞がる
- 壁や車止めで排気がこもる
- 風向きで排気が車内に戻る
これで一酸化炭素中毒リスクが上がります。
エンジンを回すなら必ず、
- マフラー周辺を確認
- 排気が塞がっていないか
- 窓を少し開けて換気(状況に応じて)
- できればCO警報器(小型)
“安全のための暖房”が、逆に危険になることがあります。
■⑦ 車中泊の代替策|燃料を使わずに乗り切る現実解
燃料を減らさないために、快適は道具で作ります。
暑さ
- サンシェード
- うちわ・扇子
- 冷却タオル
- 瞬間冷却剤
- 夜間に車外で休む(安全確保できる場合)
寒さ
- 寝袋・毛布
- 断熱シート
- カイロ
- 湯たんぽ(作れるなら)
- 重ね着(避難服の考え方)
車は「止まる場所」で、
快適は“燃料以外”で作る方が長持ちします。
■⑧ 被災地経験で感じたこと|燃料を残す人ほど復旧が早い
被災地派遣の現場で見てきた実感として、
- 燃料に余裕がある人は行動選択肢が多い
- 体調が悪化した時に移動できる
- 水・食料の補給に動ける
- 家族の不安が下がる
燃料は「自由度」です。
車中泊を選ぶなら、燃料を守る設計が最優先になります。
■⑨ やらなくていい防災(車中泊編)
- エンジンつけっぱなしで寝る
- “近くにスタンドがある”で安心する
- 半分以下でも平気と思う
- 充電を全部車に依存する
- 雪の日にマフラー確認せずエンジン稼働
■⑩ 今日の最小行動(10分でできる)
- 「半分を切ったら車中泊は危険」を家族ルールにする
- モバイルバッテリーを1台だけでも準備する
- 車にサンシェード or 毛布を1つ積む(季節で使い分け)
まとめ
車中泊で詰む最大の失敗は、ガソリンを減らして動けなくなることです。
- 燃料は快適より“離脱”の命綱
- エンジンは短時間・目的限定
- 道具で暑さ寒さを作る
- 半分を切ったら危険モード
燃料を守れた人が、最後に勝ちます。
出典
内閣府 防災情報「在宅避難・車中泊避難を含む避難の考え方」https://www.bousai.go.jp/taisaku/hinan.html

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