【防災士が解説】車内で火を使わずに調理する方法|停電・避難で「食べられる」を確保する現実解

災害時は「火がないと食べられない」が一番きついです。避難所でも車中避難でも、燃料や換気の制約で火を使いにくい場面が必ず出ます。
被災地で避難所支援に入ったときも、想定以上に避難者が増えると“お湯が回らない”“調理の順番が来ない”が普通に起きました。LOとして物資調整に入っても、火や湯の供給はボトルネックになります。だからこそ、最初から「火なしで食べられる」を持っておくのが、現実的に一番強い備えです。

目次

  • ■① 結論:火なし調理は「選び方」で9割決まる
  • ■② 火を使わず食べられる主食・おかずの現実解
  • ■③ 体を守る“温かさ”は食べ物以外で作る
  • ■④ 車内で安全に食べるための衛生ルール
  • ■⑤ 水が少ないときの食べ方(洗い物ゼロ)
  • ■⑥ 子ども・高齢者がいる場合の優先順位
  • ■⑦ やらなくていい火なし調理(ムダを削る)
  • ■⑧ 今日の最小行動(家にある物で完成)
  • ■結語

■① 結論:火なし調理は「選び方」で9割決まる

火を使わない=我慢ではありません。
ポイントは「常温で食べられる」「個包装」「開けてすぐ食べられる」「手が汚れにくい」を基準にすること。
逆に“調理が必要”“お湯が前提”“皿が必要”は、現場だと一気に詰みます。


■② 火を使わず食べられる主食・おかずの現実解

火なしで成立しやすいのはこの系統です。

  • 主食:パン(個包装)、カロリーメイト系、クラッカー、シリアルバー
  • 主食(しっかり系):パックご飯(常温で食べられる)、おにぎり(短期用)
  • おかず:缶詰(ツナ・サバ・焼き鳥)、レトルト惣菜(常温OKのもの)
  • たんぱく:サラダチキン(要冷は短期枠)、魚肉ソーセージ、プロテインバー
  • 補助:ゼリー飲料、栄養補助飲料、チョコ・ナッツ(少量で効く)

避難所でも車中でも、「開けたら食べられる」が圧倒的に回ります。
一方、アルファ米でも“お湯前提”のものは現場で詰みやすいので、使うなら「水で戻せる」「時間が経っても食べられる」を選びます。


■③ 体を守る“温かさ”は食べ物以外で作る

寒いと「温かい物が食べたい」になりますが、火を使えない状況で無理をすると事故が増えます。
元消防職員の感覚で言うと、車内は密閉空間なので“火”は最後の手段です。温かさは別ルートで作ります。

  • 服で保温(首・手・足の優先)
  • ブランケット・寝袋で体温を守る
  • 使い捨てカイロで局所加温(低温やけど注意)
  • 温かい飲み物は「最小の熱源」で、換気が確保できる場所で

「温かい食事」より「事故ゼロで体温維持」を優先すると、結果的に生き残りやすいです。


■④ 車内で安全に食べるための衛生ルール

火がないと“食中毒”が主リスクになります。避難生活で体調を崩すと、一気に行動不能になります。

  • 開封後は早めに食べ切る(特に乳製品・惣菜系)
  • 手指消毒は「食前」だけでも徹底
  • 直箸・回し食べをしない(家族でも)
  • 体調が怪しい人は“別メニュー”にする(胃腸が弱い人はゼリー等へ)

■⑤ 水が少ないときの食べ方(洗い物ゼロ)

洗い物が出ると水が減り、衛生も崩れます。現場ではこれが地味に効きます。

  • 使い捨て皿・紙コップ・スプーンで固定
  • 皿にラップを敷いて使う(汚れを出さない)
  • “片手で食べられる”食品を多めにする
  • 汁物は避ける(こぼれる・臭いが残る・洗えない)

■⑥ 子ども・高齢者がいる場合の優先順位

  • 子ども:食べ慣れた味・小分けが正義
    → 個包装パン、ゼリー、シリアルバー、ふりかけ等
  • 高齢者:噛む・飲み込む負担が少ない物
    → やわらかいパン、ゼリー、栄養補助飲料、常温で食べやすい惣菜

「普段の口に合う」が避難では超重要です。食べられない備蓄は“無いのと同じ”になります。


■⑦ やらなくていい火なし調理(ムダを削る)

  • “非常時は頑張って料理する”発想(疲労と衛生リスクが増える)
  • レシピにこだわる(手順が増えるほど失敗する)
  • まとめ買いで賞味期限管理が崩れる(ロスが増える)

■⑧ 今日の最小行動(家にある物で完成)

  • 家の食品から「火なしで食べられる物」を10個選んで箱に入れる
    例:パン、缶詰、ナッツ、チョコ、ゼリー、魚肉ソーセージ、栄養バー
  • 使い捨て皿・紙コップ・スプーンを一緒に入れる
  • 手指消毒(小ボトル)を食料箱の上に固定する

■結語

火を使わない調理は、我慢ではなく「事故を減らすための戦術」です。
避難所でも車中でも、火やお湯は不足しやすく、燃焼はリスクになります。開けてすぐ食べられる、個包装、洗い物ゼロ。これを基準に揃えるだけで、災害時の食は一気に安定します。

出典:厚生労働省「食中毒予防の原則(家庭でできる予防)」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000163433.html

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