【防災士が解説】避難するか迷った時は何を先に確認するべきか?命を守る判断フローの考え方

災害時に多い迷いの一つが、「今すぐ避難した方がいいのか、それとも自宅にいた方がいいのか」です。ここで大切なのは、気分や周囲の空気で決めることではなく、まず自分が今いる場所が本当に危険かどうかを確認することです。内閣府の避難情報に関するガイドラインでは、避難が必要なのは「危険な場所にいる人」であり、ハザードマップで自宅が安全と確認できる場合は在宅避難も選択肢になると示されています。さらに気象庁は、自治体の避難指示が出ていなくても、警戒レベル3相当・4相当の防災気象情報が出た段階で、キキクルや河川水位情報などを用いて自ら避難判断をするよう案内しています。内閣府「避難情報に関するガイドライン」 気象庁「防災気象情報と警戒レベルとの対応について」

つまり、避難するか迷った時の判断フローで大切なのは、「とにかく避難所へ行く」ことではなく、危険な場所から離れる必要があるかを先に判断することです。被災地派遣でも感じたのは、避難で本当に危ないのは「遅すぎる判断」だけではなく、「今の場所が比較的安全なのに、危険な移動をしてしまうこと」でもあるという点です。私は、避難判断では、まず今いる場所の危険、次に移動の危険、最後にどこへ移るのが一番安全か、この順で考えるのが現実的だと考えます。

■① まず結論として、避難するか迷った時に最初に見るべきことは何か

結論から言うと、最初に見るべきことは、自分が今いる場所が危険区域かどうかです。

内閣府のガイドラインでは、避難情報の対象は浸水想定区域や土砂災害警戒区域などの危険な場所にいる人であることが前提になっています。つまり、「避難所へ行くかどうか」を先に考えるのではなく、「ここにいていいのか」を最初に確認する方が大切です。

私は、避難判断で一番大事なのは「避難所へ行くかどうか」より「今ここが危ないかどうか」を先に確認することだと考えます。被災地でも、この順番が整理できている人ほど落ち着いて動けていました。

■② ハザードマップはどう使えばいいのか

ハザードマップは、避難所の場所を見るためだけではなく、自宅や今いる場所が危険かを確認するために使う方が大切です。

内閣府のガイドラインでも、ハザードマップで自宅が安全だと確認できた場合は、自宅で避難しても構わないとされています。逆に、浸水想定区域や土砂災害警戒区域にいるなら、立退き避難を基本に考える必要があります。

被災地派遣でも、「避難所の場所は知っているが、自宅が危険区域かを知らない」という人は少なくありませんでした。私は、避難判断では「どこへ行くか」より先に「ここにいていいか」を地図で確認する方が現実的だと考えます。

■③ まず避難が必要なケースはどんな時か

まず避難を強く考えたいのは、危険区域にいて、さらに状況が悪化している時です。

たとえば、
川が近い低い土地にいる、
土砂災害警戒区域にいる、
浸水想定区域にいる、
警戒レベル4避難指示やそれに相当する情報が出ている、
こうした条件が重なる時です。

気象庁は、自治体からの避難指示がなくても、警戒レベル4相当や3相当の防災気象情報が出た段階で、自ら避難判断をするよう案内しています。私は、「避難指示が出てから考える」では遅いことがあると感じます。だから、危険区域にいる人は、情報が早い段階で動き始める方が安全です。

■④ 逆に“すぐ避難所へ行かなくてもよい”ケースはあるのか

あります。自宅がハザードマップ上で安全で、建物の安全性があり、外へ出る方が危険な時です。

内閣府の避難情報ガイドラインでは、ハザードマップで自宅が安全だと確認できた場合は、自宅で避難しても構わないとされています。また、立退き避難が危険な場合には、自宅や近くの建物で少しでも浸水しにくい高い場所に移動するなど、身の安全を確保する行動をとるよう示されています。

元消防職員としても、豪雨や夜間の中で無理に移動して二次被害にあうケースはかなり怖いと感じます。私は、「避難する」ことと「避難所へ行く」ことを同じにしない方が現実的だと考えます。

■⑤ 判断フローで次に見るべきことは何か

次に見るべきなのは、今から移動すること自体が危険ではないかです。

気象庁は、避難にあたっては、あらかじめ指定された避難場所へ向かうことにこだわらず、川や崖から少しでも離れた近くの頑丈な建物の上層階に避難するなど、その時点で最善の安全確保行動をとることが重要だとしています。つまり、避難先は一つではなく、移動距離や時間帯、天候を踏まえて考える必要があります。

私は、避難判断では「遠い指定避難所」より「今より安全な場所」を優先した方が助かる可能性が高いと考えます。被災地でも、完璧な避難先より、その時点で届く安全な場所の方が役立つ場面は少なくありませんでした。

■⑥ 高齢者や子どもがいる場合はどう考えるべきか

高齢者や子どもがいる場合は、通常より早めに避難判断をする方が安全です。

気象庁は、警戒レベル3高齢者等避難が出た際には速やかに避難行動をとるよう案内しています。これは、高齢者、障がいのある方、乳幼児連れなど、避難に時間がかかる人は早めに動く必要があるからです。

私は、家族の中に避難に時間がかかる人がいるなら、「まだ大丈夫かも」で粘らず、一段早く動く方が現実的だと考えます。被災地でも、遅れて困るのはいつも移動に時間がかかる人たちでした。

■⑦ 在宅避難や親戚宅避難はどう考えればいいのか

在宅避難や親戚・知人宅への避難は、条件が合えば十分現実的な選択肢です。

内閣府は、近年は分散避難の取組が進み、旅館・ホテルの活用や親戚・知人宅への避難といった多様な避難形態があることを示しています。ただし、在宅避難は「家が安全で、生活継続の条件がある」ことが前提です。

私は、避難所へ行くか自宅に残るかの二択ではなく、「安全な親戚宅」「安全な知人宅」も含めて考える方が現実的だと感じます。被災地でも、避難所一択ではなく、分散避難の方が生活を保ちやすいことがありました。

■⑧ 迷った時の判断フロー

迷ったら、次の順番で考えてください。

「今いる場所はハザードマップ上で危険か」
「警戒レベル3・4相当の情報が出ていないか」
「今から移動すること自体が危険ではないか」
「避難所だけでなく、安全な親戚宅・知人宅・上階移動など他の安全確保手段はないか」

この順で見ると、「とりあえず避難所へ行く」より安全な判断になりやすいです。防災では、「早く移動すること」より「危険な場所から離れること」の方が本質です。

■⑨ まとめ

避難するか迷った時の判断フローで大切なのは、今いる場所が危険かどうかをハザードマップと防災情報で確認し、移動の危険も見た上で、その時点で最善の安全確保行動を選ぶことです。内閣府の避難情報ガイドラインは、危険な場所にいる人は避難が必要であり、自宅が安全なら在宅避難も可能だと示しています。気象庁も、警戒レベル3・4相当の情報が出た時点で、避難指示を待たずに自ら避難判断をするよう案内しています。

私なら、避難判断で一番大事なのは「みんなが避難しているから行くこと」ではなく「今ここにいて危険かを見て、一番安全な行動を選ぶこと」だと伝えます。被災地でも、助かったのは早く動いた人だけではなく、危険の種類に合わせて動けた人でした。だからこそ、まずは今いる場所、次に情報、最後に移動先。この順番で整えるのがおすすめです。

出典:https://www.bousai.go.jp/oukyu/hinanjouhou/r3_hinanjouhou_guideline/pdf/hinan_guideline.pdf(内閣府「避難情報に関するガイドライン」)

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