【防災士が解説】避難所 子どもが壊れない工夫|“不安の減災”をつくる具体策

避難所で一番静かに壊れていくのは、子どもの心です。泣く、騒ぐだけでなく、急に黙る、表情がなくなる、眠れなくなる。被災地派遣やLOとして避難所に入った際も、子どもは大人より早く環境の影響を受けると感じました。大人は「我慢」できますが、子どもは刺激をそのまま受け取ります。だからこそ、子ども対策は物資よりも“環境設計”が重要です。


■① まず守るのは「安心できる定位置」

子どもは場所が固定されると落ち着きます。家族のスペース内に“いつも座る場所”“いつも寝る場所”を決めます。被災地でも、定位置がある子は比較的安定していました。空間が狭くても、毛布やバッグで小さな囲いを作るだけで安心感が違います。


■② 刺激を減らす工夫が、混乱を防ぐ

避難所は騒音・光・人の出入りが多いです。子どもは刺激に弱い。耳栓、タオル、フード付き衣類、簡易カーテンなどで視覚・聴覚の刺激を減らします。被災地でも、刺激が少ない場所ほど子どものトラブルが減っていました。まずは刺激の遮断です。


■③ 「役割」を渡すと、心が安定する

何もできない状態が続くと、不安が膨らみます。水を配る、荷物を運ぶ、掲示物を貼る手伝いなど、小さな役割を渡します。被災地でも、役割を持った子は表情が変わりました。役割は自己効力感を守ります。


■④ 睡眠を守ることが最優先

夜に眠れないと心が崩れます。光を遮る、足元を照らして安心を作る、寒暖を整える。夜間の安心設計が重要です。被災地でも、夜のケアが弱い避難所ほど翌日のトラブルが多かったです。眠れるかどうかが分かれ目になります。


■⑤ 食事は「味」と「いつも感」を意識する

非常食だけでは子どもはストレスを感じます。可能なら、普段食べているおやつや味に近いものを入れます。被災地でも、馴染みの味があると安心していました。味は記憶と直結します。


■⑥ 不安な質問には「短く正直に」答える

「家はどうなるの?」「学校は?」と聞かれたとき、曖昧に濁すより、分かる範囲で短く答えます。長い説明は逆効果です。「今は安全」「明日考えよう」。被災地でも、短い安心が効いていました。情報量より安定が優先です。


■⑦ 遊びは“特別な物”より“いつもの動作”

特別なおもちゃがなくても、折り紙、絵を描く、体操、手遊びで十分です。被災地でも、段ボールや紙だけで子どもは遊びを作っていました。重要なのは、いつもと似た動作を再現することです。日常の再現が心を守ります。


■⑧ 最後は「大人が落ち着く」ことが最大の防災

子どもは大人の顔を見ています。大人が焦ると子どもも不安になります。被災地でも、保護者の表情がそのまま子どもに伝わっていました。完璧でなくていいので、声を落ち着かせる、動きをゆっくりにする。それだけで空気が変わります。


■まとめ|子ども対策は“刺激を減らし、定位置と役割を作る”こと

避難所で子どもが壊れないためには、定位置の確保、刺激の遮断、小さな役割、睡眠環境の整備、馴染みの味、短い安心の言葉、日常動作の再現、そして大人の落ち着きが重要です。物資より環境設計が効果を発揮します。

結論:
避難所で子どもを守る最大の工夫は「刺激を減らし、定位置と役割を作り、夜に眠れる環境を整えること」です。
被災地で感じたのは、子どもが落ち着いている避難所は全体も安定しているという事実です。子どもの“不安の減災”が、避難所全体の安定につながります。

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