【防災士が解説】防災シャッターは本当に必要?後回しにしていい家・優先すべき家の判断基準

台風や暴風雨のたびに、「窓ガラスが割れたらどうしよう」と不安になる家庭は多いと思います。実際、強風そのもので窓が壊れるだけでなく、飛来物が当たってガラスが破損し、その後に雨風が一気に室内へ入り込むことで、被害が大きくなることがあります。

そこで検討したいのが、防災シャッターです。ただし、これはすべての家庭に一律で必須という備えではありません。立地、窓の向き、周囲の環境、家族構成によって、優先度はかなり変わります。

この記事では、防災シャッターを付けるべきかどうかを、家庭で判断しやすいように整理して解説します。

■① 防災シャッターは何のために付けるのか

防災シャッターの主な役割は、強風時の飛来物から窓を守ることです。窓ガラスが割れると、室内に風雨が吹き込み、家具や家電が濡れるだけでなく、破片によるけがの危険も高まります。

さらに、窓が弱点になると、そこから一気に家の中の被害が広がることがあります。防災シャッターは、家全体を守るというより、「開口部の弱点を減らす備え」と考えると分かりやすいです。

つまり、防災シャッターはぜいたく品ではなく、台風・暴風対策としての窓の保護装備です。

■② 本当に必要な家はどんな家か

結論から言うと、台風や強風の影響を受けやすい地域、飛来物リスクが高い立地、窓の面積が大きい家では、優先度が高いです。

例えば、海沿い、川沿い、開けた場所、周囲に畑や資材置き場がある場所、住宅密集地で周囲の物が飛びやすい場所では、窓への飛来物リスクが上がります。特に1階の掃き出し窓や、風を受けやすい方角の大きな窓は要注意です。

逆に、周囲に建物が多く、風が分散しやすい立地で、小さな窓中心の家なら、優先順位は少し下がることがあります。つまり、防災シャッターは「家の格」より「窓が弱点になる環境かどうか」で考えた方が判断しやすいです。

■③ 窓ガラスが強ければ不要なのか

ここは誤解しやすいところです。窓ガラスの性能が高くても、それだけで十分とは限りません。

ガラスは確かに重要ですが、台風時は飛来物が何度も当たることもありますし、サッシ周辺や建具全体への負荷もかかります。防災シャッターは、その手前で物理的に守る層を1枚増やす備えです。

防災では、1つの強い装備に頼るより、複数の層で守る方が壊れにくいです。窓ガラスが強いからシャッター不要と単純には言い切れません。

■④ 優先して付けるべき窓はどこか

全部の窓に一気に付ける必要はありません。まずは優先順位を付けることが大切です。

最優先は、風を受けやすい面にある大きな窓です。特に、リビングの掃き出し窓、寝室の大きな窓、1階の道路側や庭側の窓は候補になりやすいです。次に、子ども部屋や高齢者が過ごす部屋など、割れたときの危険が大きい場所です。

現場感覚で言うと、被害が大きくなる家は「全部が壊れる家」より、「一番弱い窓が破られる家」です。だからこそ、全部ではなくても、弱点になりやすい窓から守る判断はかなり合理的です。

■⑤ 防災シャッターが向いている家庭

向いているのは、まず共働きや不在時間が長い家庭です。台風接近時に毎回養生テープや段ボールで窓対策をするのは、現実にはかなり大変です。シャッターなら、短時間で閉めるだけで備えやすくなります。

また、高齢者のみの家庭にも向いています。暴風前に外作業を減らせることは、安全面で大きな意味があります。小さな子どもがいる家庭でも、ガラス飛散の不安を減らせるのは大きいです。

つまり、防災シャッターは「性能」だけでなく、「その家庭が無理なく使えるか」という視点でも価値があります。

■⑥ 後回しでもよいケースはあるか

あります。

たとえば、雨戸や既存シャッターがすでにある家、窓が小さく飛来物リスクが低い家、予算をまず耐震や浸水対策に回すべき家では、防災シャッターを後回しにする判断も十分ありです。

防災は、全部を同時にそろえるものではありません。今の家の一番弱い部分が、窓なのか、家具固定なのか、停電対策なのかを見極める方が大切です。

「良さそうだから付ける」ではなく、「自宅の弱点に合うか」で考えると、無駄が減ります。

■⑦ 防災シャッターの弱点は何か

もちろん弱点もあります。まず費用がかかります。後付けの場合は工事も必要になり、すべての窓に付けると負担は小さくありません。

また、普段から使わないと、いざというときに動きが重い、出し入れが面倒、物が置いてあって閉められない、ということもあります。防災用品全般に言えますが、使えない備えは実質ゼロに近いです。

さらに、シャッターがあれば絶対安全というわけでもありません。強風時の外出を控える、周囲の飛びやすい物を片付ける、最新の気象情報を確認する、といった基本行動は別で必要です。

■⑧ 迷ったときの判断基準

迷ったら、次の1点で考えてください。

「台風の前日に、うちの窓が一番不安になるかどうか」

この答えが「はい」なら、防災シャッターはかなり前向きに検討してよい備えです。特に、大きな窓があり、風当たりが強く、飛来物が飛びやすい環境なら、優先度は高いです。

逆に、窓への不安よりも、家具転倒や停電、断水、浸水の方が明らかに大きいなら、そちらを先に整える方が実用的です。

防災シャッターは、家の弱点が「窓」にある家庭には強い備えです。

■まとめ

防災シャッターは、すべての家庭に必須ではありません。ただし、台風や暴風時に窓が弱点になりやすい家では、かなり価値の高い備えです。

特に、海沿い・開けた場所・飛来物が出やすい環境・大きな窓が多い家では、優先度が上がります。一方で、すでに雨戸がある家や、他の防災対策を優先すべき家庭では、後回しでも問題ない場合があります。

私なら、防災シャッターは「窓が弱点になる家」にだけ強くおすすめします。被災地でも、全部の備えを一気に整えるより、弱点を1つずつ潰した家庭の方が壊れにくいです。台風のたびに窓が気になる家なら、防災シャッターは“安心のため”ではなく“被害を減らす実用品”として十分検討する価値があります。

出典:国土交通省「設計・施工編【沖縄(8地域)版】」

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