災害対策というと、水や食料、防災バッグが真っ先に思い浮かびますが、実際の被災現場で長く影響するのが「お金」の問題です。
停電、通信障害、物流停止が重なると、普段当たり前に使えている決済手段が一気に機能しなくなります。
防災において「お金」は生活を支える重要なインフラであり、備えの質がその後の生活の安定を左右します。
■① 災害時にお金が使えなくなる現実
大規模災害が起きると、ATMや金融機関は停止・制限されることがあります。
停電や通信障害により、キャッシュレス決済も使えなくなるケースが珍しくありません。
「お金はあるのに、使えない」という状況は、被災者に強い不安とストレスを与えます。
これは物資不足とは別の次元で、生活の選択肢を狭める要因になります。
■② 現金は今や立派な防災グッズ
最近の被害想定や行政資料でも、「一定額の現金を手元に用意しておくこと」が繰り返し指摘されています。
現金は、電気や通信に依存せず使える数少ない手段です。
防災の視点では、現金は「贅沢品」ではなく「生活を守る道具」として位置づける必要があります。
■③ いくら準備すればいいのかという目安
明確な正解はありませんが、最低限の目安としては、
・家族人数 × 数日分の食費・交通費
・医療費や薬代
・ガソリン代や宿泊費の可能性
を想定し、数万円単位で分散して用意するのが現実的です。
一か所にまとめず、自宅・防災バッグ・車などに分けて保管することが重要です。
■④ キャッシュレス時代の落とし穴
普段キャッシュレス中心の生活をしている人ほど、災害時のリスクは高くなります。
端末が使えない、通信が不安定、店舗側が現金のみ対応という場面は実際に多く見られます。
「普段使っているから大丈夫」という感覚が、非常時には通用しません。
■⑤ 被災後に増える“お金の不安”
中長期避難になると、生活費、交通費、仮住まい費用などがじわじわと家計を圧迫します。
支援制度があっても、申請から給付までには時間がかかります。
その間を乗り切れるかどうかが、心身の余裕に大きく影響します。
■⑥ 防災士から見て多かったお金の失敗
現場で多かったのは、
・現金を全く持っていなかった
・通帳や印鑑の保管場所が分からない
・家族間でお金の話をしていなかった
というケースです。
特に「誰が何を管理しているか分からない」家庭ほど混乱が大きくなります。
■⑦ お金の備えも自律型避難の一部
自律型避難とは、すべてを行政任せにせず、自分で判断し動ける力を持つことです。
お金の備えは、その基盤になります。
「支援が来るまで待つ」のではなく、「待てる余裕を持つ」ことが重要です。
■⑧ 今日からできる小さな一歩
いきなり完璧を目指す必要はありません。
・財布とは別に非常用現金を用意する
・通帳や保険情報をまとめる
・家族でお金の備えを一度話題にする
この一歩だけでも、防災力は確実に上がります。
■まとめ|防災における「お金」は命を支える力
災害時、お金は単なる支払い手段ではなく、選択肢と安心を生む力になります。
備えがある人ほど、冷静な判断ができ、生活再建も早く進みます。
結論:
現金とお金の準備は、防災グッズと同じ「生きるための備え」である。
防災士として現場を見てきた中で感じるのは、
お金の備えがある人ほど、避難生活で心が折れにくいという事実です。
物資だけでなく「お金」も含めた備えが、これからの防災には欠かせません。

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