2026年を迎えても、特殊詐欺やSNS型投資詐欺、ロマンス詐欺の被害は一向に収束していません。
警察庁によると、2025年11月末時点での認知件数は3万8千件超、被害額は2,763億円に達しています。
しかもこれは「届け出があった分」に限られた数字であり、実際の被害はさらに大きいと考えられます。
■① 詐欺が「特別な犯罪」ではなくなった理由
かつて詐欺は、電話や訪問といった限定的な接触手段が中心でした。
しかし現在は、スマートフォンとSNSの普及によって、誰もが、いつでも、直接狙われる環境が整っています。
詐欺師は、
- 過去に漏えいした個人情報
- SNS投稿から読み取れる関心・悩み・生活状況
を組み合わせ、相手ごとに“もっともらしい話”を作り上げます。
■② サイバー攻撃も「人」を狙う時代へ
近年のサイバー攻撃は、
セキュリティ機器やソフトの脆弱性だけを狙うものではありません。
- メールでパスワードを聞き出す
- 電話で管理者になりすます
- SNSで信頼関係を作って誘導する
こうした「ソーシャルエンジニアリング」は、もはや例外的な手法ではなく、主流になりつつあります。
■③ 不安・焦り・欲望が判断力を奪う
物価高、金利、株価、老後資金――
「お金」に関する不安が高まる社会状況は、詐欺師にとって格好の土壌です。
人は、
- 不安を感じているとき
- 焦っているとき
- 得をしたいと思ったとき
に、冷静な判断力を失いやすくなります。
詐欺は、この心理的な隙を正確に突いてきます。
■④ 生成AIが詐欺を次の段階へ押し上げる
ここに、生成AIという新たな要素が加わりました。
生成AIは、
- 巧妙な文章を大量に生成できる
- 相手の年齢・立場・過去の会話に合わせた口調を使い分けられる
- SNSの履歴や写真を分析し、信じ込ませる材料を作れる
つまり、「誰にでも通用する詐欺」から「あなた専用の詐欺」へと進化しているのです。
■⑤ アカウント乗っ取りは「二次被害」を生む
SNSアカウントの乗っ取りは、
単なるなりすましにとどまりません。
- 友人
- 家族
- 職場の関係者
といった「信頼の輪」を次の標的にするための道具として使われます。
被害は、本人だけで終わらなくなっています。
■⑥ サイバー攻撃と詐欺は分離できない
今後は、
- 詐欺的なやり取りで心理的隙を作り
- そこから不正アクセスやシステム侵入につなげる
という手口がさらに増えると考えられます。
また、一つのサービスで見つかった脆弱性が、
同じ仕組みを使う他のサービスへ連鎖的に影響する可能性も高まっています。
■⑦ 技術よりも深刻なのは「人の弱さ」
生成AIには悪用防止の制限が設けられていますが、
それを完全に防ぐことは困難です。
一方で、防御側もAIを活用し、
- 脆弱性の早期発見
- 異常行動の検知
を進める必要があります。
ただし、2026年の最大のリスクは技術そのものではありません。
■⑧ 防災の視点で捉える「サイバー被害」
サイバー攻撃や詐欺は、
- 個人の生活
- 家計
- 事業継続
- 地域の信頼関係
を破壊します。
これは、自然災害と同じく生活基盤を壊す災害です。
■⑨ 「自分は大丈夫」が最も危険
詐欺は、もはや「偶然巻き込まれる被害」ではありません。
誰もが狙われて当然の社会に入っています。
だからこそ必要なのは、
- 知識
- 冷静さ
- 立ち止まる習慣
です。
■⑩ 防災士として伝えたいこと
これからの防災は、
地震や台風だけを想定する時代ではありません。
「人の脆弱性」を狙う災害にどう備えるか。
その視点を持たなければ、被害は拡大し続けます。
サイバー防災は、
これからの防災の中核です。

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