冬の事故原因の多くは
「タイヤはスタッドレスだから大丈夫」
という“過信”から起きる。
実はスタッドレスは、
3年目を境に氷上性能が急激に落ちる。
ここでは、防災士として
「ゴム硬度が上がるとなぜ効かなくなるのか」
「劣化を見抜く簡単チェック」
をわかりやすく解説する。
■① スタッドレスの命は“柔らかさ”。硬くなると氷を掴めない
新品のスタッドレスは、
● とても柔らかいゴム
● 無数のサイプ(細かい切れ込み)
● 氷膜を素早く排水する構造
これらにより 氷に密着して止まれる。
しかし…。
ゴムが硬くなると、
● 路面に密着できない
● サイプが開かなくなる
● 排水性が落ちる
● “氷の上で滑るタイヤ”に変化する
つまり、硬化は
スタッドレスの根本的性能を奪う“致命的劣化”。
■② 3年目から性能が落ちるのは“ゴムの化学変化”が始まるから
スタッドレスのゴムは、
冬でも柔らかさを保つために特殊な配合がされている。
しかし、時間が経つと、
● 空気中の酸素で酸化
● 紫外線で化学結合が変化
● 夏の高温で急激に劣化
● ゴム内部から油分が抜ける
● ひび割れが微細に発生
これにより、
新品時の柔らかさが失われ、硬度が上昇。
メーカー試験でも、
→ 1〜2年:性能ほぼ維持
→ 3年目から急激に硬度アップ
→ 4〜5年で氷上性能は新品の“半分以下”になることも
溝が残っていても、
硬度が上がれば“ノーマルタイヤ同等”まで落ちる。
■③ ゴム硬度が上がると停止距離は2倍以上に伸びる
硬化したスタッドレスは、
● 氷の上で噛まない
● 滑り始めたら止まらない
● 雪道でコーナーが流れる
特に 氷上停止距離が2倍〜3倍 に伸びるのが特徴。
例:氷上40km/h → 新品なら20mで止まるが
硬化タイヤだと 40〜60m必要 になることも珍しくない。
冬の事故の多くは、
“止まれないまま交差点に突っ込む”ケース。
■④ ゴム硬度の簡単チェック方法(誰でもできる)
家でできる硬化チェックは以下。
●① 親指で“グッと押してみる”
新品:柔らかく沈む
劣化:固く押し返される感じ
ゴムがプラスチック化していると即アウト。
●② 溝の底を触ってみる(表面より劣化が少ない)
表面 → 硬い
溝底 → まだ柔らかい
= 表面が硬化しているサイン
●③ ヒビ割れを確認
小さなひび → ゴムの油分が抜けている証拠
多いほど危険。
●④ 製造年を確認(タイヤ側面の4桁番号)
例:3820 → 2020年38週製造
4年以上経過していたら要注意。 5年以上なら交換推奨。
●⑤ 専用“硬度計(デュロメーター)”で測る
カー用品店でもチェック可能。
メーカー基準は異なるが、
● 新品:55前後
● 劣化:65以上
● 70超え:氷上性能は大幅低下
“硬度65超え”は危険ゾーン。
■⑤ 性能を長持ちさせる保管方法
スタッドレスは夏に激しく劣化するため、
● 直射日光を避ける
● 高温を避ける(倉庫・車内はNG)
● 風通しのよい日陰に保管
● カバーをかける(通気性のあるもの)
● 地面直置きしない(湿気で劣化)
特に マンションベランダの直射日光保管は最悪。
■⑥ 中古スタッドレスを買うときの“絶対条件”
中古を選ぶなら以下は絶対。
● 製造3年以内
● 溝7mm以上
● ひび割れなし
● ゴムが柔らかい(親指チェック)
● 同じ年式が4本セット
● 保管状態の良いもの(屋内保管)
3年以上の中古は安いが、
性能は“ほぼ期待できない”。
■まとめ|スタッドレスの性能低下は“溝”ではなく“硬度”が原因
この記事のポイント。
● スタッドレスは柔らかさが命
● 3年目から氷上性能が急激に落ちる
● 硬化すると停止距離が2〜3倍に伸びる
● 溝が残っていても硬度が高ければ危険
● 家でも“親指チェック”で硬化を見抜ける
● 保管方法で劣化スピードが大きく変わる
結論:
防災士・元消防職員として断言します。 スタッドレスは“溝より硬度”。 硬化したタイヤは“氷の上では命を守れない”。 3年目・硬さ・保管状態を必ずチェックし、 家族の命を守る“止まれる車”を冬に用意してください。

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