【防災士が解説】防災×スマートシティ|ウーブン・シティが示す「実証できる街」の防災力

静岡県裾野市で始動した、トヨタの未来実験都市「ウーブン・シティ」。
最先端技術の街として注目されていますが、防災の視点で見ると、この街は非常に重要な意味を持っています。

被災地派遣やLOとして現地に入ってきた経験から言えば、
災害に強い街とは、完成された街ではなく「試し続けられる街」です。


■① ウーブン・シティの概要と立地

ウーブン・シティは、トヨタ自動車が静岡県裾野市に建設した未来型実験都市です。
2025年9月25日、第1期エリアが開業しました。

場所は、東名高速裾野IC近くの旧東富士工場跡地。
総面積は約29万4,000㎡(東京ドーム約6個分)で、第1期は約4万7,000㎡。
今後も段階的な拡張が予定されています。

災害対応の現場では、広さ・導線・拡張性はそのまま防災力に直結します。


■② 「未完成の街」という思想

ウーブン・シティのコンセプトは、次の3つです。

・ヒト中心の街
・実証実験の街
・未完成の街

「完成させない」ことを前提にしている点は、防災の考え方と非常に似ています。

被災地では、
「想定通りにいかない」
「計画はすぐに修正が必要」
という状況が当たり前です。

未完成を前提とする姿勢そのものが、防災力と言えます。


■③ 人・モノ・技術を“織り込む”意味

「Woven(織り込む)」という名前の通り、ウーブン・シティでは、

・人
・モノ
・技術

を生活の中で統合し、検証します。

トヨタグループ12社に加え、日清食品、Z会なども参画。
自動運転、ロボット、AIをリアルな生活環境で試すことが特徴です。

これは、被災地派遣で何度も痛感した
「机上の計画と現場は違う」という教訓そのものです。


■④ 住民が暮らす実証環境の強み

開業時から、トヨタ関係者を中心に約300〜360人が居住を開始しています。

・パーソナルモビリティ
・自律走行ロボット
・自動運転による配達サービス
・栄養最適化食品

こうした実証は、2か月後にはAI信号分析や新型自動販売機などにも広がっています。

防災の現場では、
「使われない技術」は意味を持たない
という現実があります。

住民が実際に使い、声を上げ、改善される仕組みは、災害対応と同じ構造です。


■⑤ 防災の視点で見る自動運転・ロボット

被災地派遣の経験から言えば、災害時には次の問題が頻発します。

・人が足りない
・危険で近づけない
・移動手段が限られる

自動運転や自律走行ロボットは、
物資輸送、情報収集、要配慮者支援に直結する技術です。

ウーブン・シティは、それらを平時から失敗込みで検証できる場と言えます。


■⑥ 元消防職員・防災士としての実感

消防職員として、LOとして、そして防災士として被災地に入ってきた中で感じるのは、
「動かした経験」があるかどうかが、命を分けるという事実です。

ウーブン・シティは、
・実際に動かす
・問題を見つける
・すぐ直す

この循環を街そのもので回しています。

これは、防災訓練を「イベント」で終わらせない理想形です。


■まとめ

ウーブン・シティは、単なる未来都市ではありません。

・完成しないことを前提にする
・生活の中で試す
・失敗を許容する

この仕組み自体が、防災力です。

災害に強い街とは、
最初から正解を持つ街ではなく、正解に近づき続ける街

ウーブン・シティは、その姿を現実の街として示し始めています。

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