【防災士が解説】防災×スマートシティ|ウーブン・シティ最新動向と「実装型防災」の現在地(2026年1月)

トヨタが静岡県裾野市で進める実験都市「ウーブン・シティ」は、2025年9月の第1期開業から約4か月が経過しました。
単なる未来技術の実証ではなく、「災害に強い街づくり」という視点で見たとき、この街は極めて示唆に富んでいます。

被災地派遣やLOとして現地に入り、元消防職員・防災士として災害対応に関わってきた立場から見ても、
実際に人が住み、動かしながら検証している点は、防災の世界そのものです。


■① 開業から4か月、現在のウーブン・シティの状況

ウーブン・シティ第1期エリアは、2025年9月25日に開業しました。
2026年1月時点で、トヨタグループを含む約20社・個人が参加し、実証実験が継続しています。

入居者はトヨタ社員を中心とした数世帯で、家賃は周辺相場と同程度。
研究施設ではなく、「普通に暮らす街」として運用されている点が特徴です。

これは被災地で何度も感じた、
「現場で使われない技術は意味がない」という教訓と重なります。


■② 現在進行中の実証内容と防災的価値

現在、ウーブン・シティで進められている主な実証は以下の通りです。

・自動運転EV
・けん引ロボット
・パーソナルモビリティ
・AIによる信号制御・交通解析

災害現場では、
・人が近づけない
・移動手段が限られる
・交通が混乱する

こうした状況が常態化します。
これらの技術は、災害時の物資輸送・情報収集・人の移動に直結する要素です。

平時に実際の生活の中で検証している点は、防災訓練の理想形と言えます。


■③ 「住民がいる」ことの意味

被災地派遣で強く感じるのは、
計画と実行の間にある「生活感」の差です。

ウーブン・シティでは、
・住民が実際に使う
・不便を感じる
・声として返す

この循環が成立しています。

災害対応でも、机上の計画より
住民の行動・感情・習慣が結果を左右します。
その意味で、居住型実証は防災そのものです。


■④ 今後のスケジュールと拡張計画

今後の予定として、

・2026年度(4月以降)から住民を増やし本格稼働
・一般来訪者の受け入れ開始
・第2期エリア(約18万㎡)を夏頃に造成完了

最終的には、約2000人規模の街へ拡張される計画です。

災害対応の視点では、
人口規模が変わるごとの課題を事前に洗い出せる点は極めて大きな価値があります。


■⑤ 見学ツアーと防災教育の可能性

現時点では、ウーブン・シティの見学ツアーは一般公開されていません。
2026年4月以降、住民拡大とともに一般来訪者の受け入れが始まる見込みです。

応募方法は、公式サイトやトヨタの公式発表で案内予定とされています。
防災教育の観点から見ると、

・実物を見る
・動いている技術に触れる
・失敗や課題を知る

この体験は、座学では得られない学びになります。


■⑥ 元消防職員・防災士としての実感

被災地でLOとして活動してきた中で痛感したのは、
「想定外」は必ず起きるという事実です。

ウーブン・シティは、
・想定外を前提に
・小さく失敗し
・修正し続ける

この構造を街全体で持っています。

完成された街ではなく、
成長し続ける街こそが、最も災害に強い


■まとめ

ウーブン・シティは、未来技術の展示場ではありません。
「災害に強い社会を、平時から試し続ける装置」です。

被災地派遣の経験から見ても、
このような街が全国に広がることは、防災力の底上げにつながります。

防災とは、特別なことではなく、
日常の中で失敗し、学び、修正し続けること

ウーブン・シティは、その答えの一つを現実の街で示し始めています。

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