日本の防災と食料を語るとき、
必ず思い出される出来事があります。
それが「タイ米」です。
これは単なる食の好みの問題ではなく、
災害時の日本社会の弱点を浮き彫りにした象徴的な出来事でした。
■① タイ米はなぜ日本に入ってきたのか
1993年、記録的な冷夏によって
日本は深刻な米不足に陥りました。
そこで緊急輸入されたのがタイ米です。
当時の日本にとって、
「海外からの米」は命をつなぐ選択肢でした。
■② 「まずい」という評価が生んだ誤解
しかし現実は厳しいものでした。
・炊き方が違う
・品種が違う
・用途が違う
にもかかわらず、
普段と同じ白米として扱われ、
「まずい」「いらない」と評価されました。
これは味の問題ではなく、
知識不足による失敗でした。
■③ 災害時の食に「平時の基準」を当てはめた
防災の視点で見ると、
最大の問題はここです。
災害時にも、
・普段と同じ味
・普段と同じ食感
・普段と同じ満足感
を求めてしまったこと。
非常時に、
平時の快適さを基準にすると、
選択肢は一気に狭まります。
■④ タイ米は本来、非常食向きだった
実はタイ米は、
防災的に見ると優れた特徴があります。
・パラっとして保存性が高い
・水分量が少なく腐りにくい
・炒め物やスープに向く
災害時の炊き出しや集団調理には、
本来相性の良い米でした。
■⑤ 「受け入れられない社会」が生むリスク
この経験が残した教訓は重いものです。
・非常時でも選り好みする
・代替手段を拒む
・慣れないものを避ける
この姿勢は、
将来の災害でも同じ問題を生みます。
■⑥ グローバル依存時代の防災課題
現在の日本は、
食料の多くを海外に依存しています。
災害時に、
・国産が不足する
・輸入品に頼る
という状況は、再び起こり得ます。
そのとき、
「慣れていないから無理」
では、命は守れません。
■⑦ 自律型避難と食の柔軟性
自律型避難で重要なのは、
完璧な備えより、柔軟な対応力です。
・非常時用の調理法を知る
・代替食を試しておく
・家族で味を体験する
これだけで、
非常時のストレスは大きく減ります。
■⑧ タイ米が教えた本当の教訓
タイ米問題の本質は、
「米が悪かった」のではありません。
備え方と受け入れ方を知らなかったこと。
これは、
防災全体に共通する課題です。
■まとめ|非常時に求められるのは「適応力」
災害は、
私たちの価値観を選ばずに起こります。
だからこそ必要なのは、
・慣れないものを使う力
・違いを受け入れる力
・状況に適応する力
結論:
非常時の食に完璧を求めないことが、命を守る。
防災士として断言します。
タイ米は失敗例ではなく、
「学ぶべき教材」だったのです。

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