【防災士が解説】防災×バイキングロス|「取りすぎる心理」が災害時に命取りになる理由

ホテルの朝食バイキングや食べ放題で、つい皿いっぱいに料理を取ってしまった経験はないでしょうか。
しかし食べきれず、結局残してしまう——。
この何気ない行動の裏に、災害時に命を左右する“危険な心理”が隠れています。

防災の視点で見ると、バイキングロスは単なるマナーや食品ロスの問題ではありません。
それは「非常時に正しい判断ができない兆候」でもあるのです。


■ なぜ人は「取りすぎてしまう」のか

バイキングでは、多くの人がこう考えます。

「あとで無くなったら困る」
「今のうちに取っておいた方が得」
「周りもたくさん取っている」

これは欠乏への恐怖同調行動が組み合わさった心理です。
人は「足りなくなるかもしれない」と感じた瞬間、必要量の判断が鈍ります。

この心理は、災害時にもそのまま現れます。


■ 災害時にも起きる「取りすぎ行動」

災害直後、避難所や配給の現場で起きるトラブルの一つが、
・必要以上にもらう
・使い切れない物資を抱え込む
・周囲を見て焦って行動する

結果として、
本当に必要な人に物資が届かない状況が生まれます。

これはモラルの問題ではなく、平時からの行動パターンが非常時に出ているだけです。
バイキングロスと災害時の混乱は、同じ根っこを持っています。


■ 「足りないかもしれない」は最大の錯覚

実際の災害現場では、
・すぐに食べられない
・保管できない
・持ち運べない
といった理由で、過剰な物資は逆に負担になります。

特に避難所では、
食べきれない食料が傷み、廃棄されるケースも少なくありません。
これは平時の食品ロスが、そのまま非常時にも再現されている状態です。


■ 自律型避難に必要な「適量思考」

自律型避難とは、
「自分で考え、周囲を見ながら行動する避難」です。

その基本にあるのが、
・必要な分だけ持つ
・使い切れる量を判断する
・余力を残す

バイキングで言えば、
「まず少量を取って、足りなければ追加する」
この考え方こそが、自律型避難の訓練になります。


■ バイキングは最高の防災教育の場

実は、バイキングは防災教育に最適な教材です。

・どれくらいで満腹になるか
・残さず食べられる量はどれくらいか
・周囲に配慮できているか

これらはすべて、
災害時の物資管理・判断力に直結します。

特に子どもに対しては、
「全部食べられる量を考えて取ろう」
という声かけが、そのまま防災教育になります。


■ 「もったいない」は命を守る感覚

食品ロスを減らす行動は、
環境のためだけではありません。

それは、
・判断力を鍛える
・欲望をコントロールする
・非常時に冷静でいる訓練
でもあります。

防災に特別な道具や訓練は必要ありません。
日常の行動を少し変えるだけで、防災力は確実に高まります。


■ まとめ:日常のクセは非常時に出る

バイキングロスは、ただの食べ残しではありません。
それは「考えずに動くクセ」の表れです。

災害時に必要なのは、
・冷静な判断
・適量の選択
・周囲への配慮

これらはすべて、日常生活の中で育てることができます。

防災は特別な訓練ではなく、日常の延長です。
次にバイキングに行ったとき、ぜひ「防災の目」で皿を見てみてください。
それが、あなたと大切な人の命を守る第一歩になります。

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