【防災士が解説】防災×ペット避難|行政が抱える「本音の悩み」と現場で起きている課題

ペット防災の議論では、どうしても「行政は冷たい」「もっと配慮すべきだ」という声が目立ちます。しかし、実際に行政の中にいると、ペット避難に関する悩みは非常に深く、単純な善悪では語れません。ここでは、防災士として、また自治体防災の現場を見てきた立場から、行政側が抱えるリアルな悩みを整理します。


■① 明確な国の統一ルールが存在しない

ペット避難は「同行避難が原則」とされていますが、具体的な運用は自治体任せです。
・同伴可か不可か
・屋内か屋外か
・どこまで対応するか
国レベルでの詳細基準がなく、自治体ごとに判断せざるを得ない状況が続いています。


■② 避難所の物理的キャパシティ不足

多くの避難所は、
・学校体育館
・公民館
・地域センター
で、もともとペット対応を想定して設計されていません。人だけでも過密になる中、ペットスペースの確保は大きな課題です。


■③ アレルギー・恐怖への配慮が必要

行政は、
・ペットが苦手な人
・動物アレルギーを持つ人
・乳幼児や高齢者
全員の安全を守る責任があります。一部に配慮すると、別の人の命や健康を脅かす可能性があるのが現実です。


■④ 職員自身も被災者になる

大規模災害では、
・職員が出勤できない
・家族の安否対応が必要
・人員が半減する
という状況が起こります。理想的なペット対応をしたくても、人的余裕がないのが実情です。


■⑤ ルールを決めるほど責任が重くなる

「ペット可」と明記すれば、
・トラブル発生時の責任
・事故時の説明責任
・例外対応への苦情
が一気に行政へ集中します。結果として、曖昧な表現になりがちです。


■⑥ 平時は理解されにくく、災害時に責められる

平時にペット防災を訴えても、
・関心が低い
・優先順位が下がる
一方、災害が起きると「なぜ準備していなかった」と批判されます。行政の防災施策全般に共通する悩みです。


■⑦ すべての要望に応えることは不可能

行政は「最大多数の安全」を優先します。
・個別事情
・強い思い
・感情的な訴え
すべてを満たすことはできず、苦渋の判断を迫られます。


■⑧ 行政が本当に求めているのは住民の自助

行政が最も期待しているのは、
・在宅避難の選択
・家庭内ルールの整備
・地域での助け合い
です。これが進むほど、避難所トラブルは減少します。


■まとめ|行政も「悩みながら判断している」

ペット防災において、行政は敵ではありません。

結論:
行政の限界を理解し、自助・共助を重ねることがペットと人の命を守ります。
防災士として現場に立ち会ってきた経験から言えるのは、行政任せにしない備えこそが、最も現実的で確実な防災対策だということです。

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