多くの家庭が「水・アルファ米・缶詰」があれば災害は乗り切れると思いがちですが、
現場で避難支援をしてきた防災士として断言します。
その3点だけでは“冬の災害・長期避難・停電”は乗り切れません。
本当に役立つローリングストックとは、
「命を守る」「心を守る」「生活を維持する」の3つを満たす備蓄です。
■① 水・アルファ米・缶詰だけでは“寒さ”に勝てない
特に冬災害では、食べ物よりも深刻なのが 低体温症。
- 冷水しかない
- 温かい物が食べられない
- 住まいが冷えきっている
- 避難所の床が氷のように冷たい
これでは命が危険です。
必要なのは:
- カイロ
- 軽量ダウン
- アルミブランケット
- 断熱シート
- 靴下の替え
「温かさ」は食料より優先される場面があります。
■② 水と食料だけでは“トイレの衛生”が保てない
避難所や車中泊で最も困るのがトイレ問題。
- 汚物による感染症
- 悪臭
- メンタル不調
- 特に女性や子どもは深刻なストレス
最低限必要なのは:
- 簡易トイレ
- 汚物袋(凝固剤入り)
- トイレットペーパー
- アルコールウェット
「食べる」より「排泄」で命に関わるケースがあります。
■③ 缶詰やアルファ米は“栄養が偏る”
これだけでは3日で体調を崩す人が出ます。
不足しやすいのは:
- ビタミン
- たんぱく質
- 食物繊維
補える食品は:
- 野菜ジュース
- 栄養補助ゼリー
- ナッツ・ドライフルーツ
- プロテインバー
ストレス下の避難所では、これらが圧倒的に役立ちます。
■④ 災害は“静電気・乾燥・感染症”にも気をつける必要がある
冬は特に以下のリスクが高まります。
- インフルエンザ
- ノロウイルス
- 喉の乾燥
- 静電気による事故(火災リスク)
そのため必須なのは:
- マスク
- のど飴
- ハンドクリーム
- アルコール消毒
- 加湿代用品(濡れタオル等)
食料では防げない災害リスクが多いのです。
■⑤ 心の安定を守る“メンタル防災”も必須
災害避難で最も崩れやすいのは「心」です。
特に子どもは:
- 配布食を食べない
- 夜泣き
- 不安感の増大
- メンタルダメージが長期化
そこで役立つ備蓄は:
- 子どもの好きな味の非常食
- 甘いお菓子
- いつもの飲み物
- 小さなおもちゃ
- カードゲーム
「好きな食べ物」は心の支え=レジリエンスになります。
■⑥ 家庭内避難(在宅避難)では“生活用品”が命綱
水と食料はあるのに、生活がまったく回らない家庭が多いです。
必要なのは:
- 乾電池・モバイルバッテリー
- LEDランタン
- 電気毛布(ポータブル電源対応)
- 紙皿・紙コップ
- ラップ(皿を洗わずにすむ)
- ポリ袋(断水時の生活用)
「生活を維持する」備蓄がないと、家があっても避難を余儀なくされます。
■⑦ ローリングストック最大の目的は“普段の生活で試すこと”
備蓄で最もやってはいけないのは、
買って満足して一度も使わないこと。
避難所では:
- 開け方が分からない
- 思ったより不味い
- 子どもが食べない
- 重くて運べない
- 調理が難しい
というトラブルだらけ。
普段から使ってみることが本当の防災。
■⑧ 「冬」「夏」「感染症」など“季節の災害”に合わせて備蓄を変える
ローリングストックが本当に機能するのは、
- 冬:低体温症対策
- 夏:熱中症対策
- 春:花粉・感染症対策
- 秋:台風・停電対策
季節で中身を入れ替える家庭は災害に強い。
■まとめ|ローリングストックは“水・アルファ米・缶詰”では完成しない
ローリングストックの本質は、
- 命を守る
- 心を守る
- 生活を守る
この3つのすべてを備蓄でカバーすること。
結論:
水・アルファ米・缶詰だけでは、冬災害・長期避難・停電は乗り切れない。 本当の備えは「防寒・衛生・メンタル・生活用品」を含めてこそ完成する。
防災士としての経験から言えるのは、
備蓄は「量より質」「基本より応用」が命を救うということです。

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