冬の災害は、雪や寒さそのものだけでなく、気づきにくい二次災害によって命を奪います。
今回、富山県南砺市で発生した事案は、その典型例です。
雪に埋もれた車内で起きた一酸化炭素(CO)中毒は、誰にでも起こり得る身近な危険です。
■① 何が起きたのか
富山県南砺市で、雪に覆われた車の中から男性が発見され、
司法解剖の結果、死因は一酸化炭素中毒とみられることが分かりました。
当時、車の周囲には約65cmの積雪があり、
雪で排気口が塞がれた状態でエンジンをかけたことで、排ガスが車内に逆流した可能性が指摘されています。
■② 一酸化炭素中毒の怖さ
一酸化炭素は、
- 無色
- 無臭
- 刺激がない
という特徴があり、吸っていることに気づけません。
症状は、
- 頭痛
- めまい
- 吐き気
- 意識障害
- 最終的には死亡
と進行しますが、車内や睡眠中では異変に気づく前に意識を失うことが多いのが特徴です。
■③ 雪があるときの車は「密閉空間」になる
積雪時は、
- 排気口が雪で塞がれる
- 車体の周囲が雪の壁になる
- 排ガスが外へ逃げにくくなる
ことで、車内が一気に危険な空間になります。
エンジンをかけて暖を取る行為は、
一見安全そうに見えて、実は命に直結するリスクを含んでいます。
■④ 被災地・雪害現場で実際に見てきた事例
被災地派遣や豪雪地域の現場では、
- 吹雪で動けなくなった車
- 夜間、寒さをしのぐためにエンジンをかけ続けたケース
で、一酸化炭素中毒寸前だった事例を何度も見てきました。
本人は「少し暖を取るだけ」「短時間だから大丈夫」と思っていることがほとんどです。
■⑤ エンジンをかける前に必ず確認すべきこと
雪のある状況で車を使う場合、最低限次を確認してください。
- マフラー(排気口)が完全に露出しているか
- 車の周囲に雪が壁状に溜まっていないか
- 吹き溜まりの中に停車していないか
少しでも不安があれば、エンジンはかけない判断が重要です。
■⑥ 車中泊・待機時の絶対ルール
どうしても車内で待機せざるを得ない場合でも、
- エンジンの連続稼働はしない
- 定期的に外に出て排気口を確認
- 少しでも体調に異変を感じたら即停止
「寒さ」よりも「中毒リスク」を優先してください。
■⑦ 一般市民が知っておくべき冬の防災知識
一酸化炭素中毒は、
- 特別な災害時だけでなく
- 日常の駐車場
- 駅前
- 自宅前
でも起こります。
「雪が積もっている=排気が危険」という認識を持つことが、命を守る第一歩です。
■⑧ 今日できる最小の防災行動
- 冬は「車で暖を取らない」を原則にする
- 家族にも「雪と排気口」の危険を共有する
- 雪の日はCO中毒を必ず思い出す
この意識づけだけでも、リスクは大きく下げられます。
■結語
雪は静かに、確実に危険を連れてきます。
一酸化炭素中毒は、見えない・気づけない・逃げられない災害です。
「まさか自分が」と思わないこと。
それが冬の防災で最も大切な心構えです。
寒さ対策より、まず命の安全を。
それが防災の基本です。

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