能登半島地震から2年。
震度7という未曾有の被害を経験した被災地では、「どこへ避難するか」だけでなく、「どう暮らし続けられるか」が大きな課題として浮かび上がりました。
■① 民泊を活用した二次避難は“初の事例”だった
能登半島地震では、二次避難先として民泊を活用した初めての事例が生まれました。
兵庫県立大学大学院の阪本真由美教授は、この取り組みを次のように評価しています。
「受け入れ数として多くはありませんでしたが、民泊を二次避難に活用したのは初めての事例で、マッチング率は100%でした」
利用したのは、
・小さな子ども連れの家族
・配慮が必要な高齢者がいる世帯
・ペットを連れた避難者
といった、集団避難所では生活が難しい人たちでした。
■② 「生活設備が整っている」ことの意味
民泊の最大の特徴は、
キッチン・洗濯機・浴室など、日常生活に必要な設備がそろっている点です。
阪本教授は、避難先としての民泊をこう表現しています。
「日常生活に近い環境が整っているので、被災者のニーズに合致しやすい」
避難生活では、
「寝られるか」だけでなく、
「食事が作れるか」「洗濯ができるか」「静かに休めるか」
といった要素が、心身の回復に直結します。
■③ 要配慮者にとっての大きな安心材料
特に、
・乳幼児がいる家庭
・高齢者
・障害のある人
・ペットと暮らしている人
にとって、一般家庭に近い環境で過ごせることは、
不安やストレスを大きく減らす要素となります。
ペット可の民泊があったことで、
「ペットを理由に避難をためらう」状況を避けられた点も重要です。
■④ ニーズに合った避難先を選べる仕組み
民泊プラットフォームには、
・設備内容
・受け入れ可能な人数
・子どもやペットの可否
・ホストとの直接連絡
といった情報が事前に明示されています。
阪本教授は、この仕組みについて次のように述べています。
「避難者のニーズに応じた、きめ細かな宿泊施設の提供につながる可能性があります」
これは、一律の避難所運営では難しかった“個別最適”の避難を可能にしました。
■⑤ 「場所」ではなく「人」を支援する発想へ
民泊を利用した避難者の中には、
ほとんど何も持たずに避難してきた人もいました。
個別避難では、行政からの物資支援が届きにくい一方で、
・地域住民
・民間企業
・ボランティア
からの支援が集まるケースも多く見られたといいます。
阪本教授は、こう指摘します。
「日本ではこれまで〈場所に対する支援〉が中心でした。これからは〈人に対する支援〉を考える必要があります」
■⑥ 能登が突きつけた防災の転換点
能登半島地震は、
「避難所に行けば安心」という前提が通用しない現実を示しました。
これからの防災では、
・二次避難を前提に考える
・民泊という選択肢を知っておく
・人の状況に合わせた避難を認める
ことが、命を守る鍵になります。
■⑦ 今日からできる備え
・家族で「二次避難」という言葉を共有する
・高齢者や子ども、ペットがいる場合の避難先を考える
・自治体の二次避難制度を調べておく
避難とは、生き延びるための行動であり、
生活を続けるための選択でもあります。
能登の経験は、
これからの日本の防災を一段階前へ進める、大きなヒントを残しました。

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