「採用してもすぐ辞める」――建設業界で長年続くこの課題は、実は消防団員不足とも深く関係しています。現場で見てきた感覚として、人が定着しない業界ほど、地域防災の担い手も細っていく。その構造は、決して別々の問題ではありません。
■① 建設業界の若手離職は“異常値”に近い
建設業の新規高卒就業者における3年以内離職率は43.2%。全産業平均を大きく上回り、約2人に1人が3年以内に辞めている計算です。就業者数は減少し、高齢化は進み、若手比率は1割強にとどまっています。現場は常に人手不足で、教育する余裕も奪われています。
■② 人が辞める職場は「防災力」も育たない
建設業と消防団は、地域防災の両輪です。道路復旧、瓦礫撤去、応急工事、初動対応――災害時に最初に動けるのは、地元の建設業者と消防団員です。しかし、若手が定着しない職場では、消防団への参加も難しくなります。平時から余裕がない職場ほど、地域活動に関わる余白がありません。
■③ 若者が離れる理由は「根性論」ではない
離職理由として多いのは、「身体的にきつい」「年齢の近い先輩がいない」「将来像が見えない」といったものです。これは消防団でも同じです。仕事も地域活動も、属人化・精神論・長時間前提のままでは、若い世代は定着しません。
■④ 成友興業が実現した“若手が残る現場”
創業50年の成友興業は、平均年齢約31歳という若い組織を実現しています。売上は24年で13倍超。ポイントは「人を根性で使わない設計」にありました。労働環境の改善、評価制度の見直し、成長イメージの可視化を徹底し、若手が「続けられる仕事」に変えたのです。
■⑤ 若手定着を生んだ3つの実践
1つ目は、働き方の見直しです。無理な長時間労働を前提にしない。
2つ目は、コミュニケーションの設計です。年齢の近い先輩を育て、相談できる環境をつくる。
3つ目は、将来像の提示です。資格取得や役割の変化を明確にし、「ここにいれば成長できる」と示しました。
■⑥ この仕組みは消防団にも応用できる
消防団も同じです。活動が「やりがい」や「使命感」だけに依存すると、続きません。活動の見える化、役割分担、負担の平準化、評価や感謝の仕組みが必要です。建設業で若手が定着する職場は、消防団員も確保しやすい。逆もまた然りです。
■⑦ 若手定着は“地域防災への投資”
若手が残る建設業は、災害時に動ける人材を地域に残します。若手消防団員が育てば、初動対応力が上がります。これはコストではなく、防災への先行投資です。人が辞めない設計こそが、地域の耐災害力を底上げします。
■⑧ 今日できる最小の行動
「若者が続かないのは根性がないから」と考えるのをやめること。
仕事も地域防災も、“続けられる構造”になっているかを見直す。
それが、次の災害で助かるかどうかを分ける第一歩になります。

コメント