災害が起きたとき、真っ先に影響を受けやすいのが高齢者や障害のある方です。
その生活を日常から支えている介護・福祉の現場は、災害時にはそのまま「命を守る最前線」に変わります。
今回決まった介護報酬・障害福祉サービス報酬の引き上げは、防災の視点から見ても非常に重要な意味を持っています。
■① 介護報酬引き上げは「防災力の底上げ」
介護報酬が2.03%、障害福祉サービス等報酬が1.84%引き上げられる方針が示されました。
これは単なる賃上げ政策ではなく、平時の支援体制を維持・強化することで、災害時の対応力を下支えする施策でもあります。
人が定着しなければ、災害時に守れる命も守れません。
■② 災害時、介護現場は「止められないインフラ」
災害が起きても、介護や障害福祉サービスは止めることができません。
避難所、在宅、仮設住宅でも、食事・排泄・服薬・見守りは続きます。
介護職員の確保と処遇改善は、電気・水・道路と同じ「命のインフラ」を守ることにつながります。
■③ 物価高の中で現場が抱えていた限界
食費、燃料費、消耗品の高騰は、介護施設や事業所を直撃してきました。
現場では「これ以上は持ちこたえられない」という声も少なくありません。
今回の前倒し改定は、現場の疲弊を少しでも食い止める意味を持っています。
■④ 防災計画に組み込まれるべき「介護人材」
地域防災計画では、要配慮者支援が重要視されています。
しかし、実際に動くのは人です。
介護職員や福祉職員が地域に安定して存在すること自体が、防災力そのものと言えます。
■⑤ 災害時に露呈する「人手不足」という弱点
大規模災害では、介護職員自身も被災者になります。
それでも支援を続けなければならない現実があります。
平時から人員に余裕がなければ、災害時に一気に破綻するリスクを抱えています。
■⑥ 障害福祉サービスも同じ構造的課題
障害のある方への支援も、災害時には途切れさせることができません。
報酬引き上げは、障害福祉の現場を守ると同時に、避難生活での混乱を抑える効果も期待されます。
支援の継続性は、被災後の二次被害を防ぐ鍵です。
■⑦ 行政支援には「限界」があるという現実
行政がどれだけ制度を整えても、最終的に支えるのは現場です。
報酬改定は重要ですが、災害時に即応できる人材配置や連携体制までは保証してくれません。
ここに過度な期待を寄せすぎることは危険です。
■⑧ 住民側に求められる防災意識の転換
介護や福祉は「誰かがやってくれるもの」ではありません。
地域で支える意識、近隣同士の見守り、家族の備えがあって初めて機能します。
制度と住民の備えが噛み合ってこそ、防災は成立します。
■まとめ|介護報酬改定が示す防災の本質
介護報酬・障害福祉サービス報酬の引き上げは、災害に強い社会をつくるための土台です。
しかし、それだけで安心できるわけではありません。
結論:
介護・福祉の安定は、防災の前提条件であり、地域全体で支える覚悟が不可欠です。
防災士として現場を見てきた中で強く感じるのは、「制度があっても人がいなければ機能しない」という現実です。
だからこそ、行政任せにせず、地域・家族・個人が自律的に備える姿勢が、これからの防災には欠かせません。

コメント