防災気象情報は年々進化しています。
警戒レベル、危険度分布、新たな情報体系――。
それでも災害は減らず、
「なぜ避難しなかったのか」
という問いが、毎回繰り返されます。
その背景には、はっきりとした“欠けている存在”があります。
■① 情報は「出ている」のに、伝わっていない
行政も気象庁も、情報は出しています。
テレビもネットもSNSも、情報であふれています。
それでも現場では、
・知らなかった
・自分は対象だと思わなかった
・本当に危ないとは感じなかった
という声が後を絶ちません。
これは「情報不足」ではありません。
■② 足りないのは“翻訳する人”
防災情報が伝わらない最大の理由は、
情報を生活の言葉に翻訳する人が不足していることです。
・この地域ではどうなるのか
・この家族構成だと何をすべきか
・今、動かないと何が起きるのか
こうした具体化を、
誰かが“人の言葉”で伝えなければなりません。
■③ 行政と住民のあいだにある深い溝
行政の言葉は正確ですが、抽象的です。
「警戒レベル4相当」
「浸水想定区域」
「避難指示」
これを聞いて即行動できる人は多くありません。
一方で住民は、
「結局どうすればいいの?」
という答えを求めています。
■④ “つなぐ人”がいた地域は強い
過去の災害を振り返ると、
被害を抑えた地域には共通点があります。
・顔の見えるリーダーがいた
・声をかけ合う文化があった
・判断を後押しする人がいた
この「つなぐ人」の存在が、
避難の成否を大きく分けています。
■⑤ 防災はシステムではなく人で動く
どれだけ立派な制度や情報があっても、
最後に人を動かすのは“人”です。
・あの人が言うなら動こう
・みんなが動き始めた
・声をかけてもらった
この連鎖が起きた時、
避難は現実になります。
■⑥ コミュニティ崩壊が最大のリスク
今、最も深刻なのは、
地域コミュニティの弱体化です。
・近所の顔がわからない
・声をかける関係がない
・頼れる人がいない
この状態では、
どれだけ情報を出しても届きません。
■⑦ 防災アドバイザー・防災士の役割
これから必要なのは、
「知識を持つ人」ではなく
「つなげる人」です。
・行政の情報を噛み砕く
・住民の不安を拾い上げる
・行動につなげる声かけをする
防災士や地域リーダーは、
まさにその役割を担えます。
■⑧ 自律型避難は“孤立”ではない
自律型避難とは、
勝手に動くことではありません。
・自分で判断できる人が増える
・周囲に声をかけられる人が増える
・助け合いが連鎖する
結果として、
地域全体の避難力が高まります。
■まとめ|防災情報の隙間を埋める存在が未来を守る
防災の最大の課題は、
情報そのものではありません。
情報と人のあいだにある“隙間”です。
その隙間を埋める
「伝える人」「つなぐ人」を育てること。
それこそが、
これからの防災で最も重要な投資だと、
現場に立つ防災士として強く感じています。

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