【防災士が解説】防災×入浴事故|若者も無縁じゃない「入浴中の事故」ヒートショックと入浴熱中症の正体

冬場になると増える入浴中の事故は、高齢者だけの問題だと思われがちです。しかし実際には、若い世代も含めた全年代で起きており、命に関わるケースも少なくありません。被災地対応や救急現場でも、入浴が引き金となった急変は珍しくなく、日常に潜むリスクの代表例と言えます。


■① ヒートショックとは何が起きているのか

ヒートショックとは、急激な温度変化によって血圧が大きく上下し、体に強い負担がかかる現象です。

暖かい居室から寒い脱衣所へ移動すると血管が収縮し血圧が上昇し、その後、熱い湯に浸かることで血管が拡張し血圧が急低下します。この急変動が失神や心筋梗塞、脳卒中を引き起こし、浴槽内での溺死につながることがあります。

被災地の仮設住宅や寒冷地では、浴室と居室の温度差が特に大きく、冬場の入浴事故が集中しやすい環境でした。


■② 数字が示す入浴事故の深刻さ

厚生労働省の統計では、ヒートショックの影響で入浴中に亡くなった65歳以上の高齢者は、交通事故死者数を大きく上回っています。

ただし、これは高齢者だけの話ではありません。救急専門医の指摘では、入浴をきっかけにした心肺停止や意識障害は、冬場になると明らかに増加しています。


■③ 若者にも起きる「入浴熱中症」

近年、特に注目されているのが「入浴熱中症」です。

これは、熱いお風呂に長時間入ることで体温が異常に上昇し、脱水や意識障害、失神を起こす状態です。ヒートショックが温度差による血圧変動なのに対し、入浴熱中症は「長風呂」が原因となります。

実際、被災地や単身世帯では、疲労やストレスから長時間入浴をして体調を崩すケースも見られました。年齢に関係なく起こるのが特徴です。


■④ 介護施設が徹底している対策から学ぶ

介護施設では、ヒートショックを防ぐために以下のような対策が行われています。

脱衣所と浴室を事前に暖める
湯張りを早めに行い蒸気で温度差を減らす
入浴前に血圧を測定し体調を確認する

これらは特別な設備がなくても、家庭で応用できる考え方です。


■⑤ 一般家庭でできる現実的な対策

今日からできる対策は難しいものではありません。

脱衣所や浴室を暖房や蒸気で暖める
お湯の温度は41℃以下を目安にする
入浴時間は10分以内を意識する
食後すぐ、飲酒後、服薬後の入浴を避ける

被災地での生活でも感じましたが、「いつも通り」が通用しない環境ほど、体への負担は大きくなります。


■⑥ 入浴は“安全確認が必要な行動”と認識する

入浴はリラックスの時間である一方、冬場はリスクを伴う行動でもあります。特に寒暖差の大きい住環境や、疲労がたまっている時は注意が必要です。

災害時や停電時、仮設住宅などでは、入浴環境が大きく変わるため、平時以上の意識が求められます。


■⑦ 今日できる最小の防災行動

入浴前に、脱衣所の寒さを確認する。
湯温と入浴時間を意識する。

この小さな行動が、命を守る防災につながります。入浴事故は「特別な人に起きるもの」ではありません。日常の中にあるからこそ、防災の視点で備えておくことが大切です。

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