【防災士が解説】防災×冬の避難所|厳寒期に命を守る「寝る・温める・食べる」の現実解

冬の災害は、建物被害よりも「避難生活そのもの」が命を削ります。
特に厳寒期は、寒さ・栄養不足・活動低下が重なり、災害関連死のリスクが一気に高まることが、能登半島地震などの実例からも明らかになっています。


■① 冬の避難所で最も危険なのは「災害関連死」

過去の大規模災害では、直接死よりも、避難生活中に体調を崩して亡くなる「災害関連死」が多く発生しています。

  • 能登半島地震:災害関連死 470人
  • 建物倒壊などによる直接死:228人

寒さ、睡眠不足、栄養不足、トイレの我慢。
これらが重なると、高齢者だけでなく、健康な人でも体力を奪われます。


■② 毛布1枚では冬の体育館は耐えられない

災害訓練で再現された環境は、室温わずか1.8℃の体育館。
毛布1枚では、「最初は暖かく感じても、長時間は無理」という声が多く聞かれました。

床からの冷えは想像以上で、
「床に近いほど体温は奪われる」という現実を体験的に示しています。


■③ 段ボールベッドの現実と限界

多くの自治体で導入されている段ボールベッドは、

  • 床から体を離せる
  • 冷えを軽減できる
  • プライバシー確保に有効

というメリットがあります。

一方で、

  • 組み立てに時間と人手がかかる
  • 数が多く、保管スペースを取る
  • 高齢者や1人では組み立てが困難

という課題も明確になっています。


■④ 専門家が勧める「スチールベッド」という選択

災害医療の専門家が提案するのは、段ボールではなくスチール製ベッドです。

理由は明確です。

  • 組み立て時間は段ボールの約1/10
  • 重量は半分
  • 規格サイズは同等
  • 床下収納が可能
  • 折りたたみ時の容積は約1/3
  • 価格も安価

つまり、備蓄・設営・運用すべてで効率が高いという結論です。


■⑤ 真冬の車内待機は「想像以上に危険」

暴風雪による立ち往生を想定した車内待機訓練では、

  • 車内温度:約2.8℃
  • 1時間後、下半身から強い冷えを自覚

エンジン停止中の車内は、
「外より少しマシ」程度で、低体温症リスクは確実に存在します。


■⑥ 冬の非常食は「作らない」が正解

注目されたのが、蓄電池で動く電子レンジ+市販の冷凍食品という発想です。

  • 炊き出し不要
  • 支援者の負担が激減
  • 復電後はそのまま通常利用可能
  • 冷凍庫の食品を「捨てずに非常食化」

温かい食事は、体温を上げるだけでなく、
会話・安心感・精神安定にも大きく寄与します。


■⑦ 災害食に求められる10の条件

厳寒期の避難所では、食事は「生存戦略」です。

  1. 嚥下・アレルギー対応
  2. 並ばせない
  3. 不足せず補充しやすい
  4. 衛生・安全
  5. スタッフ負担が少ない
  6. エネルギー・水を使わない
  7. 適切なカロリーと栄養
  8. 温かく、おいしい
  9. 会話と笑顔が生まれる
  10. フードロスとゴミが少ない

冷凍食品+電子レンジは、これらを高水準で満たします。


■⑧ トイレは「我慢しない」ための生命線

寒い避難所でトイレを我慢すると、

  • 水分摂取を控える
  • 食事量が減る
  • 体調が急激に悪化

という悪循環に陥ります。

暖房付き簡易トイレ、凝固剤付きトイレの整備は、
命を守るインフラです。


■⑨ 冬の防災は「知識」が生死を分ける

冬の避難は、日常生活では想像しにくいものです。
しかし、知識がある人が多いほど、

  • 行動が早い
  • 作業が円滑
  • 無駄な体力消耗が減る

という差が生まれます。


■⑩ まとめ|厳寒期は「生活の質=生存率」

冬の避難所では、

  • 床から離れて寝る
  • 体を温める
  • 温かい食事をとる
  • トイレを我慢しない

この当たり前が、命を守る条件になります。

防災は特別な話ではなく、
「生活を壊さない準備」そのものです。

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