冬の地震では「揺れ」よりも、そのあとに襲ってくる
積雪・凍結・暴風雪 が命の危険を大きくします。
私は被災地支援の経験の中で、冬の地震がいかに“避難行動を難しくするか”を何度も見てきました。
ここでは、冬特有の道路リスクと、家族が安全に避難するための準備を解説します。
■① 積雪が“避難速度”を奪う
雪道では走れない。歩幅も狭くなる。
特に子ども・高齢者は転倒リスクが高く、避難に2〜3倍の時間がかかります。
対策
- 靴は滑り止めのあるものを枕元に
- スノーブーツを玄関にまとめておく
- 避難経路は“最短距離”ではなく“安全な道”で選ぶ
■② 凍結路面は夜間が最も危険
冬の深夜〜早朝は路面が完全に凍ります。
避難所が近くても、外に出た瞬間に転ぶケースは多いです。
被災現場でも、
「玄関を出て5メートルで転倒し骨折」
という声は少なくありません。
対策
- 軽アイゼン or 滑り止めバンドを用意
- ストック(杖)代わりに折り畳みポール
- 手袋は必須(転倒時に手を守る)
■③ 車で避難できない可能性が高い
冬の地震では道路が…
- 凍結
- 亀裂
- 陥没
- 倒木
- 立体交差で渋滞
になり、車が動かないことがあります。
能登半島地震の現場でも、夜間凍結で通行不可能な道が多数ありました。
対策
- 車は“満タン”を基本(冬は特に)
- スタッドレスは必ず装着
- 車中避難も視野に入れた装備
- 毛布
- 寝袋
- 水
- カイロ
- モバイルバッテリー
■④ 吹雪は“視界ゼロ”をつくる
雪が横殴りになると、
2〜3メートル先が見えない状況になります。
夜ならさらに視界が悪化。
避難所がすぐ近くでも、正しい方向に進めないケースがあります。
対策
- 懐中電灯 or ヘッドライトを家族全員分
- 反射材のついた上着を使用
- 子どもには“手を離さないルール”
■⑤ 雪国は「屋根雪・落雪」が危険
揺れで屋根雪が一気に落ちてくることがあります。
雪国の被災地で実際に起きた例:
- 揺れの後、玄関前で落雪に直撃
- 車の上に雪が落ちて扉が開かない
- 落雪で窓ガラスが破損
対策
- 出入口の上の落雪ポイントを把握
- 避難は“落雪のない側”から行う
- 車は軒下から離して駐車する
■⑥ 子どもは冬の外出で急激に体温が奪われる
特に小学生以下は体温調節が苦手です。
避難途中で震えが止まらなくなり、そのまま体力を消耗するケースがあります。
対策
- 子ども用の“即着られる上着”を枕元に
- ネックウォーマー・手袋・帽子はセットで準備
- カイロを2つ(背中+お腹)
■⑦ 夜の避難は“場所の目印”が見えない
雪で看板が見えない
街灯が停電で消える
道の境界が白く埋もれる
→ 避難所にたどり着けない人が出ます。
対策
- 避難経路を昼間に必ず歩いておく
- 途中の“暗くてもわかる目印”を家族で共有
- 子どもにも避難ルートを説明しておく
■⑧ 「自宅待機」という選択肢も必要
冬の夜の避難は危険が多いため、
建物が安全な場合は無理に外へ出ない方が安全なケースもあります。
判断基準は次の通り:
✓ 建物が倒壊しそうか
✓ ガス漏れはないか
✓ 津波の心配はあるか
✓ 家族が外出できる状況か(体調・服装)
避難“しない”ことも命を守る判断です。
■まとめ|冬の地震は「外に出ること自体」が大きなリスク
積雪・凍結・吹雪・視界不良
これらが避難を非常に難しくします。
結論:
冬の地震は、屋外が危険。家族が短時間で外へ出られる準備を徹底することが最大の防災。
防災士として、冬の避難は“冷静な判断と事前準備”が命を左右することを強くお伝えします。

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