防災というと、食料や水、避難計画を思い浮かべる人が多いかもしれません。
しかし災害現場で繰り返し突きつけられるのが、「医療費」と「お金」の問題です。
政府は、高額な医療費の自己負担を抑える「高額療養費制度」について、2026年8月から制度を見直す方針を示しました。
このニュースは、平時の医療だけでなく、災害時の生活再建にも直結する重要なテーマです。
■① 高額療養費制度とは何か
高額療養費制度とは、1か月の医療費の自己負担が一定額を超えた場合、その超過分が払い戻される仕組みです。
がん治療や慢性疾患など、長期にわたる治療を支える「最後のセーフティネット」とも言えます。
多くの人が「自己負担は月8万円程度で抑えられる」と認識してきましたが、今回の見直しで状況が変わります。
■② 政府案のポイント|年間上限53万円
今回明らかになった政府案の大きなポイントは次の2点です。
・2026年8月から、平均的な所得層(年収約370万〜770万円)に「年間上限53万円」を新設
・一方で、月額上限は現行の約8万円から引き上げ
さらに、2027年8月には所得区分の細分化が行われ、月額上限が約11万円になる人も出てきます。
「年間で見ると抑えられるが、月単位では負担が重くなる」という設計です。
■③ 災害時に医療費が直撃する現実
災害時、医療費は「想定外」に発生します。
・避難中の転倒や骨折
・持病の悪化
・ストレスによる体調不良
・避難生活での感染症
これらは、被災後すぐ、あるいは数週間〜数か月後に表面化します。
医療費は、住宅修理や生活再建と同時にのしかかってきます。
■④ 防災の盲点|「お金の備え」は後回しにされがち
防災備蓄は整っていても、
・医療費の自己負担はいくらか
・長期治療になったら家計は耐えられるか
ここまで考えている人は多くありません。
防災士として被災地で見てきたのは、
「命は助かったが、医療費と生活費で心が折れる」という現実でした。
■⑤ 高額療養費見直しが意味するもの
今回の制度見直しは、「長期治療への配慮」と説明されていますが、
一方で月々の支払い能力が問われる制度設計でもあります。
災害と病気が重なった場合、
・一時的に収入が減る
・貯蓄を切り崩す
・支払いを先送りする
こうした判断を迫られる場面が確実に増えます。
■⑥ 防災士から見た“誤解されがちポイント”
現場で多い誤解があります。
「高額療養費があるから、医療費は何とかなる」
これは半分正解で、半分危険です。
実際には、
・一度は全額支払う必要がある
・月ごとの負担は発生する
・差額ベッド代や生活費は別
制度を知っているかどうかで、被災後の判断が大きく変わります。
■⑦ 防災としての「医療×お金」の備え方
現実的な備えとして重要なのは、
・最低限の生活防衛資金(数か月分の生活費)
・医療費が重なった場合のシミュレーション
・家族で制度を共有しておくこと
防災は「物」だけでなく、「知識」と「お金」の準備が不可欠です。
■⑧ 防災は“健康でい続ける仕組み”づくり
災害は、健康リスクを一気に高めます。
そして健康を守るには、医療につながれる環境と、それを支える家計の余力が必要です。
防災は、
「避難する力」+「回復する力」
まで含めて考える時代に入っています。
■まとめ|防災は医療費まで含めて完成する
高額療養費制度の見直しは、
防災における「お金の弱点」を浮き彫りにしました。
結論:
防災とは、災害後も治療を続けられる家計力を含めて考えるもの
防災士として現場に立つ中で強く感じるのは、
「制度を知っていた人ほど、立ち直りが早い」という事実です。
医療費の話は難しく、避けたくなるテーマですが、
防災としては避けて通れません。
今日この話題に触れたこと自体が、
すでに“備えの第一歩”です。

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