【防災士が解説】防災×南海トラフ巨大地震|津波警報「3分以内」と命を守る耐震化・早期避難

南海トラフ巨大地震は、いつ起きても不思議ではないと繰り返し指摘されています。
被災地での対応経験から強く感じるのは、「情報は来る。でも判断が遅れる」という現実です。
今回は、津波警報がなぜ“3分以内”に出るのか、そして私たちが本当に備えるべきポイントを整理します。


■① 日本は“地震が多い国”ではなく“地震の中心地”

日本とその周辺では、世界で起きる大地震の約2割が発生しています。
その理由は、太平洋プレートなど複数の巨大プレートが押し合う境界に位置しているからです。

被災地では「想定外」という言葉が多く聞かれましたが、
日本に住む以上、大地震は想定内でなければなりません。


■② 地震は予知できないが“先回り”はできる

地震の予知はできません。
しかし、緊急地震速報は「先回り」ができます。

地震発生時、
・速く伝わるP波
・遅く強い揺れのS波

この時間差を利用し、全国1000か所以上の地震計が即座に検知します。

被災地では、
「数秒でも分かっていたら行動が変わった」
この声を何度も聞きました。


■③ 津波警報が“3分以内”に出る理由

津波警報は、地震発生から原則3分以内に発表されます。
これは、過去の膨大な津波シミュレーションが事前にデータベース化されているからです。

さらに現在は、
・S-net(日本海溝)
・DONET(南海トラフ東側)
・N-net(南海トラフ西側)

という海底観測網が整備され、
津波観測は最大20分早くなりました。

情報は、確実に早くなっています。


■④ 津波は「低くても」致命的

津波は高さだけで判断してはいけません。

・30cm → 大人でも動けない
・1m → 致死率ほぼ100%

被災地では、
「思ったより低かったから大丈夫」
という判断が命取りになりました。

津波は水の壁ではなく、
破壊力を持った流体です。


■⑤ 南海トラフで最も多い死因は「津波」

南海トラフ巨大地震の最大死者想定は約29万8000人。
そのうち、約21万5000人が津波によるものとされています。

つまり、
何もしなければ、犠牲者の約4分の3は津波です。

逆に言えば、
「逃げる」だけで多くの命は救えます。


■⑥ 耐震化は“命を守る最初の一手”

能登半島地震で明らかになったのは、
1981年以前の旧耐震住宅に被害が集中した事実です。

2000年基準を満たした建物は、被害が極めて少なかった。

被災地で何度も聞いた言葉があります。
「家が無事なら、生き延びられた」

耐震化は、自分だけでなく、
家族を守る備えです。


■⑦ 早期避難で津波被害は大幅に減らせる

南海トラフ地震では、
・揺れ → 津波までに時間差がある

この「数分〜数十分」が、生死を分けます。

事前に決めておくべきことは、
・どこへ逃げるか
・どの道を使うか
・誰と逃げるか
・何を持つか

被災地では、
「考えていなかった」が最大の障害でした。


■⑧ 防災の本質は“迷わない仕組み”

情報は、これからも早くなります。
設備も、進化していきます。

しかし最後に命を守るのは、
その瞬間、迷わず動けるかどうかです。

耐震化と早期避難。
この2つだけで、被害は確実に減らせます。

備えとは、不安を増やすことではありません。
判断を軽くするための準備です。

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