災害が起きたとき、「避難所へ行かなければならない」「家に残るのはいけないことだ」と感じてしまう人は少なくありません。しかし、家が無事だった人まで無理をする必要はありません。近年注目されているのが、「がんばらない減災」という考え方です。災害時に心と体をすり減らさないための在宅避難の心得について整理します。
■① がんばらない減災とは何か
がんばらない減災とは、被災後に無理を重ねず、自分と家族の生活を守ることを最優先に考える減災の考え方です。被災したからといって、全員が同じ行動を取る必要はありません。家が安全であれば、その場所で静かに生活を続けることも立派な選択です。
■② 家を失わなかった被災者が感じやすい「負い目」
在宅避難を選んだ人の中には、「避難所に行っていない自分は申し訳ない」「被災者として弱音を吐いてはいけない」と感じる人がいます。しかし、家が使えるのは偶然ではなく、耐震化や日頃の備えの結果です。負い目を感じる必要はありません。
■③ 在宅避難が成立する条件
本来の在宅避難は、次の条件が整っている家で行うものです。
・建物が倒壊していない
・一定量の食料と飲料水がある
・トイレ対策が取られている
・家具の固定がされている
これらが満たされている場合、避難所に行かず自宅で過ごすことは合理的な判断です。
■④ 地震後3日間の過ごし方が重要
多くの災害では、最初の3日間が最も混乱します。停電や断水が起きても、在宅避難者はまず自宅の備蓄でしのぐことが基本です。この期間に外へ出歩かず、体力と精神力を温存することが、その後の生活を左右します。
■⑤ 在宅避難者と支援物資の課題
在宅避難者は外から見えにくいため、支援が届きにくいという課題があります。行政や地域が在宅避難者を把握し、確実に物資を分配できる仕組みづくりが重要です。自分から声を上げることも、決してわがままではありません。
■⑥ 「避難=移動」ではないという視点
避難とは「危険から離れること」であり、「必ず移動すること」ではありません。自宅が安全な場所であれば、そこに留まることも避難の一形態です。この視点を持つことで、不要な移動や混乱を減らすことができます。
■⑦ 心が壊れないための在宅避難
在宅避難は、生活環境が保たれる分、心の安定につながりやすい側面があります。一方で孤立しやすいため、情報を適度に取り入れ、人とつながる意識が大切です。「がんばらない」ことは、「何もしない」ことではありません。
■⑧ 今日できる最小の備え
がんばらない減災の第一歩は、小さな備えです。
・水と食料を3日分だけ意識する
・家具を一つ固定する
・トイレ対策を確認する
完璧を目指さず、できることだけを積み重ねる。それが在宅避難を支える力になります。
災害時に最も大切なのは、「無理をしない判断」です。がんばらない減災という考え方は、在宅避難を選ぶ人の心を守り、結果的に社会全体の負担も軽くします。自分に合った避難の形を選ぶことが、これからの防災の基本です。

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