1月6日に島根県東部を震源として発生した地震では、最大震度5強を観測しました。その後も余震が続き、「揺れが終わっても安心できない」という現実を多くの人が実感したはずです。被災地対応を経験してきた立場から断言できるのは、命を左右するのは“揺れの最中”より“揺れが収まった後の行動”だということです。
■① 地震後に防災意識が一気に高まる理由
地震直後、ホームセンターでは防災グッズが急激に売れ始めます。これは被災地で何度も見てきた光景です。人は「怖い思い」をして初めて、自分事として防災を捉えます。今回も家具転倒防止器具、防災バッグ、トイレ袋、水が一気に売れました。
これは悪いことではありません。ただし、本当に大切なのは「買ったかどうか」ではなく、「使える状態かどうか」です。
■② 家具転倒対策は“火災予防”でもある
家具の固定はケガ防止だけでなく、地震後火災の予防にも直結します。倒れた家具が電気コードを傷つけ、復電時に出火するケースは、実際の被災地で何度も発生しています。
被災地では、
・家具の下敷き
・コード破損による火災
・逃げ遅れ
が連鎖的に起きます。
家具固定は「命を守る初期投資」です。
■③ 防災グッズで最優先すべきは「水」
現場で最も不足し、最も困るのが水です。飲料・調理用として1人1日3リットル、最低3日分が基本ですが、実際はトイレ・歯磨き・簡単な洗浄にも使うため、余裕があるほど安心です。
被災地では「水がある家庭」と「ない家庭」で、ストレスと判断力に大きな差が出ます。
■④ 地震後火災は「安心した頃」に起きる
「揺れが収まった=安全」ではありません。むしろ注意すべきはここからです。
被災地で多いのは、
・停電後の復電時火災
・破損した電気機器の再通電
・ガス漏れへの気づき遅れ
だからこそ、
・電気器具のスイッチOFF
・プラグを抜く
・避難時はブレーカーを落とす
この一連の動作が命を守ります。
■⑤ 感震ブレーカーは“判断を省く防災”
感震ブレーカーは、地震を感知して自動で電気を遮断します。これは「正しい判断を自動化する防災」です。混乱する状況下で、人は必ず判断を誤ります。だからこそ、考えなくていい仕組みを作ることが重要です。
■⑥ 揺れ直後にやるべき“最低限の行動”
被災地で共有されている基本行動はシンプルです。
・火の元を確認
・ストーブ・ヒーターの油漏れ確認
・電気器具の異常確認
・異臭・煙の有無を確認
この「ひと手間」を省いた結果、大きな火災につながった事例を、私は現場で何度も見てきました。
■⑦ 防災は「個人」より「つながり」が強い
防災は一人では完結しません。実際の災害対応では、顔の見える関係がある地域ほど、避難・情報共有・助け合いがスムーズです。
消防団、自主防災組織、地域訓練は「面倒な行事」ではなく、命を守る予行演習です。
■⑧ 被災地で一番後悔が多い言葉
被災後、最も多く聞いた言葉はこれです。
「まさか、うちが…」
「もう少しやっておけば…」
防災は完璧である必要はありません。
“少しでもやっていた人”が、確実に助かっています。
■まとめ|結論:備えは「行動」になって初めて意味を持つ
結論:
「備えあれば憂いなし」とは、買うことではなく、動ける状態を作ること。
地震は止められませんが、その後の被害は減らせます。今回の地震を「怖かった出来事」で終わらせず、行動に変えること。それこそが、防災士・元消防職員として、そして被災地を見てきた人間として、最も伝えたいことです。
今日、家の中を一つ見直す。それだけでも、あなたの防災は確実に前に進みます。

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