災害時、
子どもが泣き崩れて動けなくなる場面は少なくありません。
被災地では、
この瞬間の大人の対応次第で、その後の行動が大きく変わることを何度も見てきました。
現場経験を踏まえ、実際に有効だった対応を整理します。
■① 泣き止ませようとしなくていい
まず大切なのは、
「泣く=問題」と捉えないことです。
泣くことは、
恐怖や緊張を外に出す正常な反応です。
被災地では、
無理に泣き止ませようとした結果、
体が固まって完全に動けなくなる子どももいました。
泣いていても、
動ける準備を整えることが優先です。
■② 声を大きくしない・急がせない
「早く!」「危ない!」
という強い声は、
子どもの恐怖を増幅させます。
被災地では、
大人の声が大きくなった瞬間に
子どもがパニックに入る場面を何度も見ました。
低い声で、
短く、
同じ言葉を繰り返す方が効果的でした。
■③ 体を密着させて安心を伝える
言葉が届かない状態では、
身体感覚が重要になります。
抱き寄せる、
背中に手を当てる、
手をしっかり握る。
被災地では、
体に触れられた瞬間に
呼吸が落ち着いた子どもが多くいました。
■④ 行動を「一つ」に絞る
泣いている子どもに
複数の指示は入りません。
・手をつなぐ
・立つ
・一緒に歩く
どれか一つで十分です。
被災地では、
「手をつなごう」だけを繰り返すことで、
少しずつ動き出した子どもを多く見ました。
■⑤ 抱っこ・おんぶをためらわない
年齢や体重を気にして
抱っこを躊躇する親もいます。
しかし被災地では、
一度抱き上げたことで避難が進んだケースが多くありました。
動けない時間を短くすることが重要です。
■⑥ 泣いている理由を探さない
「どうしたの?」
「何が怖いの?」
と聞いても、
この状態では答えられません。
理由探しは後で十分です。
被災地では、
理由を聞こうとしている間に
状況が悪化したケースもありました。
■⑦ 泣き止んだ後に「できたね」と伝える
落ち着いた後、
「ちゃんと動けたね」
「一緒に来られたね」
と声をかけることで、
子どもは「失敗した」という感覚を持たずに済みます。
被災地では、
この一言が
その後の行動を前向きにしていました。
■⑧ 親が自分を責めないことも大切
子どもが泣いて動けなかったことを、
「自分のせいだ」と責める親は少なくありません。
しかし被災地で見てきた限り、
これは誰にでも起こる状況です。
親が自分を責め続けると、
次の判断が遅れます。
■⑨ 対応のゴールは「泣き止ませること」ではない
子どもが泣いて動けなくなった時のゴールは、
静かにさせることではありません。
安全な場所へ一緒に移動することです。
泣いていても、
それができれば十分です。
子どもが泣いて動けなくなるのは、
異常でも失敗でもありません。
その瞬間、
大人が落ち着き、
体と行動をシンプルにつなげる。
それが、
子どもの命と心を守る現実的な防災対応です。

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