【防災士が解説】防災×子ども|避難所で子どもの心を守る方法

避難所では、
子どもの体よりも先に「心」が疲れていきます。
被災地では、
目立った怪我がなくても、心の負担で動けなくなる子どもを数多く見てきました。
避難所という環境で、子どもの心をどう守るか。
現場経験を踏まえて、現実的な方法を整理します。


■① 「安心できる人」を固定する

避難所では人の出入りが多く、
子どもは常に不安定になります。
被災地で効果があったのは、
「この人のそばにいれば大丈夫」という
安心できる人を一人決めることでした。

親が忙しい場合でも、
交代するなら必ず伝える。
それだけで子どもの不安は大きく下がります。


■② 子ども専用の「小さな居場所」を作る

広い避難所は、
子どもにとって落ち着ける場所がありません。
被災地では、
毛布で囲った一角や、
段ボールの陰を
「ここはあなたの場所」と決めることで、
表情が落ち着く子どもが多くいました。

広さよりも、
自分の場所だと分かることが重要です。


■③ 不安な話題から距離を取らせる

大人同士の会話には、
被害状況、先の見えない話、
不安を煽る内容が多く含まれます。
被災地では、
その会話を聞き続けた子どもほど、
夜に不安定になる傾向がありました。

意識的に、
子どもが聞かなくていい情報から
距離を取らせることが大切です。


■④ 感情を出してもいいと伝える

「泣かないで」
「我慢して」
という言葉は、
子どもの心を閉じさせます。

被災地では、
「泣いていいよ」
「怖かったね」
と受け止められた子どもほど、
回復が早い印象がありました。


■⑤ できたことを言葉にする

避難所では、
子どもは「迷惑をかけていないか」を気にします。
被災地で有効だったのは、
・一緒に移動できた
・待てた
・話を聞けた
といった
小さな「できた」を言葉にすることでした。

これが自己肯定感を支えます。


■⑥ 生活リズムを完全に戻そうとしない

避難所では、
普段通りの生活はできません。
被災地では、
「早く元に戻そう」とするほど、
子どもが疲れてしまうケースがありました。

完璧を目指さず、
少しでも休めたら十分、
という視点が大切です。


■⑦ 親自身の余裕が最大のケアになる

子どもは、
親の表情や声の変化を
敏感に感じ取ります。
被災地では、
親がほんの数分でも座って休んだ後、
子どもが落ち着く場面を何度も見ました。

親が自分を守ることは、
そのまま子どもの心を守ることにつながります。


■⑧ 変化は「後から出る」ことを知っておく

避難所では平気そうでも、
数日後、数週間後に
夜泣き、甘え、不安として現れることがあります。
被災地では、
避難所を出てから初めて相談につながるケースも多くありました。

「今は大丈夫そう」
だけで判断しないことが大切です。


■⑨ 心を守るゴールは「元気にさせる」ことではない

避難所で子どもの心を守るゴールは、
明るくさせることではありません。
壊れないように支えることです。
元気は、
安全と安心が積み重なった後に戻ってきます。


避難所で子どもの心を守るために必要なのは、
特別な道具や知識ではありません。
安心できる人、
小さな居場所、
感情を受け止める姿勢。
それが、
被災地で何度も子どもを支えてきた、
現実的で確かな方法です。

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