【防災士が解説】防災×学校防災|教員の休職問題と避難所運営問題は同じ構造

一見すると、
「教員の休職問題」と「避難所運営問題」は
まったく別の話に見えます。
しかし被災地で学校・避難所の両方に関わってきた立場から見ると、
この二つは驚くほど同じ構造をしています。
現場経験を踏まえて整理します。


■① 「人に頼りすぎる仕組み」が前提になっている

教員の休職問題も、
避難所運営の混乱も、
共通しているのは
特定の人に業務が集中する構造です。

学校では、
・授業
・部活動
・生活指導
・保護者対応
を教員が背負います。

避難所では、
・開設
・物資管理
・住民対応
・調整業務
を限られた職員や教員が担います。

人に依存した仕組みは、
平時でも限界が近く、
非常時には必ず破綻します。


■② 「善意」と「使命感」に支えられている

教員も、
避難所運営に関わる人も、
強い使命感と責任感を持っています。
被災地では、
「自分がやらなければ回らない」
という思いから、
無理を重ねる姿を何度も見ました。

この善意は尊い一方で、
仕組みの弱さを覆い隠す役割も果たしてしまいます。


■③ 役割が曖昧で「何でも屋」になりやすい

教員は、
本来は授業の専門家です。
しかし現実には、
学校内外のあらゆる問題対応を求められます。

避難所でも同じです。
本来は行政・地域・専門職で分担すべき業務が、
現場にいる人に丸投げされがちです。

役割が曖昧な組織ほど、
人が壊れやすくなります。


■④ 「我慢が美徳」という空気が共通している

教員の世界にも、
避難所運営の現場にも、
「大変でも我慢するのが当たり前」
という空気があります。

被災地では、
我慢を続けた結果、
・突然倒れる
・感情的になる
・判断を誤る
といった事態が起きていました。

我慢を前提にした運営は、
防災上のリスクです。


■⑤ 人が倒れて初めて問題になる

教員の休職問題は、
人が限界を超えて初めて表面化します。
避難所運営も、
現場が混乱して初めて
「人手が足りない」と言われます。

被災地では、
事前に余力を持たせていれば防げた混乱が、
数多くありました。


■⑥ 専門職・外部支援が不足している

海外では、
教員は授業の専門家、
避難所には専門の運営スタッフが配置されます。

日本では、
どちらも
「現場の人が何とかする」構造が強い。
被災地では、
専門職が入った途端に
現場が安定する場面を何度も見ました。


■⑦ 学校は「平時の避難所」でもある

学校は、
災害時の避難所であると同時に、
平時は子どもの生活拠点です。
教員が疲弊している学校は、
災害時にも脆弱です。

被災地では、
平時から余裕のない学校ほど、
避難所運営も混乱していました。


■⑧ 人を守れない組織は、防災に弱い

教員の休職問題と避難所運営問題に共通するのは、
人を守る設計が後回しになっていることです。

・役割分担
・業務の線引き
・休める仕組み
・代替要員

これらがなければ、
災害時に組織は機能しません。


■⑨ 教員の働き方改革は、避難所改革でもある

教員の負担を減らすことは、
教育の質を守るだけではありません。
それは、
災害時に学校が避難所として機能するための
根本的な防災対策でもあります。


教員の休職問題と避難所運営問題は、
偶然似ているのではありません。
同じ構造的欠陥を抱えています。

人の善意に頼らない。
人が壊れない前提で設計する。
役割を分け、支援を入れる。

それが、
被災地で何度も突きつけられた
現実的で続けられる防災の答えです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました