年末年始や連休で久しぶりに実家へ帰省すると、「モノが増えて片付いていない」と感じる人は少なくありません。普段の生活では多少不便なだけでも、災害時にはその状態が生死や被害の大きさを分けることがあります。被災地や防災の現場で見てきた経験を踏まえ、帰省中に必ず確認しておきたい“実家の防災リスク”を整理します。
■① 避難経路が物で塞がれているリスク
廊下や階段に段ボール、古い荷物、使っていない家具が置かれているのは、いわゆる「実家あるある」です。しかし廊下は、災害時には命を守るための避難経路になります。地震で停電し、物が倒れ、床が歪んだ状況では、「普段は通れる」は全く当てになりません。被災地では、わずかな障害物が原因で逃げ遅れたケースを何度も見てきました。避難経路には“何も置かない”が基本です。
■② 非常食を一か所にまとめているリスク
親世代の家では、非常食をまとめて一か所に保管していることがよくあります。しかし、災害時にその場所が使えなくなる可能性は十分にあります。また、非常食が普段食べ慣れていない缶詰やレトルトばかりだと、在宅避難が長引いた際に食欲が落ち、栄養不足につながります。被災地では、「食べられるものがあるのに食べられない」ことが体調悪化の引き金になっていました。普段使う戸棚を活用し、分散備蓄とローリングストックに切り替えることが重要です。
■③ 使用期限がある物を大量に備蓄しているリスク
使い捨てカイロ、乾電池、絆創膏などは、意外と使用期限があります。セールでまとめ買いしたまま放置され、期限切れになっている実家も少なくありません。被災地では、期限切れのカイロが温まらず役に立たなかった、電池が液漏れして使えなかったという例がありました。「量がある=安心」ではなく、「使える状態か」が防災では最重要です。
■④ 実家の防災は「指摘」ではなく「一緒に確認」
帰省中に防災の話をすると、親にとっては「責められている」と感じることもあります。被災地で感じたのは、「一緒に確認しよう」という姿勢の方が、結果的に改善につながるということでした。避難経路を一緒に歩く、非常食を一緒に見直す、期限を一緒に確認する。この“共有作業”が、防災を現実の行動に変えます。
■⑤ 片付けは防災であり、家族への備え
片付けは、見た目を良くするためだけの行為ではありません。災害時には、命を守る行動そのものになります。被災地で何度も痛感したのは、「普段の暮らし方が、そのまま災害時の結果になる」という現実です。帰省は、実家の防災を見直す最大のチャンスです。
■⑥ 今日できる小さな防災行動
・廊下と玄関の物を一時的でも減らす
・非常食の置き場所と中身を確認する
・カイロや電池の使用期限を見る
・「これ、災害時どうする?」と一緒に考える
これだけでも、防災力は確実に上がります。
■⑦ 実家の安全は「今」確認しておく
災害は、都合のいいタイミングでは起きません。被災地で感じてきたのは、「帰省中に気づけていれば防げたかもしれない事故」があまりにも多いという事実です。実家の片付けは、親のためであり、自分自身の後悔を減らすための防災でもあります。

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