【防災士が解説】防災×建築|能登半島地震で転倒した7階建てビル、最大の要因は杭頭の脆性破壊

2024年の能登半島地震で石川県輪島市内の鉄筋コンクリート(RC)造・地上7階建てビルが転倒しました。被害として、隣接する木造店舗兼住宅が下敷きになり、2人が亡くなる事態に。国の有識者委員会が2025年12月23日に公表した報告書をもとに、転倒のメカニズムを整理します。


■① 地震による杭頭損傷

  • 地震動で既製コンクリート杭の杭頭部が損傷
  • 杭頭部の斜めひび割れにより、鉛直・水平方向への抵抗力を喪失
  • パイルキャップ自体には目立った損傷はなし
  • 上部構造の圧縮力が杭頭部に作用し、損傷を拡大

■② 水平方向の荷重偏り

  • 建築計画上の偏りで東側杭に水平力負担が集中
  • 結果として杭が支持力を喪失し、建物全体が東側に傾斜
  • 縦長の立面形状や不均等な柱スパンが負担集中の要因
  • 計10本の柱は西側に偏り、東側杭の荷重が相対的に増加

■③ 傾斜から転倒に至るプロセス

  • 東側杭の支持力喪失により建物が傾斜
  • 偏った柱配置が傾斜の進行を助長
  • 地盤・杭頭損傷の連鎖で最終的に建物が転倒
  • 杭基礎を有するRC造の転倒被害として国内初の事例

■④ 教訓と防災ポイント

  • 杭頭の脆性破壊が建物転倒の最大要因
  • 上部構造の荷重分散と基礎設計の均衡が重要
  • 地震リスクの高い地域では既存建築物の耐震診断・補強が不可欠
  • 偏った柱配置や杭の損傷耐性を評価することが安全性向上に直結

今回の分析は、RC造建築物の地震時挙動や杭基礎の弱点を浮き彫りにしており、防災・減災の観点から建築物の耐震設計・管理の重要性を改めて示しています。

発災直後、被災地で倒壊したビルを目の当たりにし、思わず涙が止まりませんでした。

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