【防災士が解説】防災×復旧・復興の誤解|「元に戻った=人が回復した」ではない現実

災害対応の現場では、
よくこんな言葉が使われます。

復旧が進んでいる。
復興に向かっている。

しかし、防災の現場に立っていると、
この言葉に強い違和感を覚える瞬間があります。

街は戻っても、人は戻っていない。

これが、現場で何度も見てきた現実です。


■① 「復旧・復興」はインフラの言葉

行政用語としての復旧・復興は、

・道路が通った
・電気・水道が戻った
・建物が直った
・制度が整った

という、機能の回復を指します。

これは重要です。
しかし、あくまで「外側」の話です。


■② 現場では人が壊れたまま残る

インフラが戻っても、

・判断力が戻らない
・生活のリズムが崩れたまま
・何をすればいいか分からない
・決断を避け続ける

人は、確実に存在します。

街が動き始めても、
人の内側は止まったまま、というケースは珍しくありません。


■③ 防災士として何度も見たギャップ

現場で繰り返し見たのは、

・支援は揃っている
・制度も説明されている
・でも動けない

という状態です。

知識不足でも、怠慢でもありません。
人が回復しきっていないだけでした。


■④ 「復旧=安心」という誤解

周囲からは、

・もう大丈夫
・元に戻った
・次に進もう

と言われる。

しかし当事者は、

・まだ整っていない
・考えられない
・決められない

このズレが、
さらに人を追い込みます。


■⑤ 人が回復するには「別の時間」が必要

人の回復には、

・清潔
・着替え
・睡眠
・自分のペース

が必要です。

インフラの復旧スピードと、
人の回復スピードは一致しません。

ここを混同すると、
「置き去り」が生まれます。


■⑥ 行政がカバーしきれない空白

行政支援は、

・公平性
・効率
・期限

を前提に設計されています。

その結果、

・心の回復
・尊厳の回復
・判断力の回復

は、制度の外に置かれがちです。

これは制度の欠陥ではなく、
構造上の限界です。


■⑦ 人の回復を支える防災が必要

だからこそ、防災には、

・自律型避難
・避難服
・壊れない避難生活
・耐災害力

といった、
人の内側を守る視点が必要になります。

これがなければ、
復興は形だけで終わります。


■⑧ 復旧・復興のその先を見る防災へ

復旧・復興はゴールではありません。

・人が考えられる
・人が選べる
・人が動き出せる

ここまで来て、
初めて「回復」と言えます。


■まとめ|復旧・復興と人の回復は別物

街が戻っても、人は戻らないことがある。
これは現場の事実です。

結論:
防災の観点では、行政用語としての「復旧・復興」は人の回復を保証するものではなく、判断力・生活リズム・尊厳といった人の内側を回復させる防災がなければ、本当の意味での復興は成立しない。

防災士として現場を見てきた中で、
人の回復に目を向けた支援ほど、その後の生活再建が安定していました。
防災は、街ではなく、人が戻って初めて完成します。

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