【防災士が解説】防災×心の避難|被災地経験から見えた「避難が長引くほど心が疲れる本当の理由」

災害対応の現場では、建物の被害よりも「人の心の消耗」が後から静かに表面化します。被災地での支援経験を通じて強く感じたのは、避難生活が長引くほど、理由が分からないまま心が疲れていく人が増えていくという現実でした。なぜ避難が長引くと心が疲れるのか、その構造を整理します。


■① 危険が去っても緊張は解けない

発災直後は、命を守る行動に集中するため、心は緊張状態を保ちます。現場では、揺れや浸水が収まった後も、その緊張が切れず、眠れなくなる人が多くいました。危険が去った=安心できる、とは限りません。


■② 「終わりが見えない」ことが最大の負荷になる

避難生活では、明確な期限が示されないことがほとんどです。被災地では、「いつまで続くのか分からない」という状態が、心を最も消耗させていました。終わりが見えない不安は、体力以上に精神力を削ります。


■③ 常に人に囲まれる環境が続く

避難所では、一人になる時間がほとんどありません。現場では、誰にも見られていない時間が取れないことで、無意識に気を張り続け、疲弊していく人を多く見てきました。


■④ 我慢が美徳になりやすい空気

被災地では、「自分より大変な人がいる」という空気が強くなります。その結果、つらさを口に出せず、心の負荷を内側に溜め込む人が増えていました。我慢が続くほど、心は回復しにくくなります。


■⑤ 情報過多が不安を増幅させる

支援情報や噂話、SNSの断片的な情報が飛び交う環境では、頭が休まりません。現場でも、情報を追い続けていた人ほど、疲労感が強くなる傾向がありました。


■⑥ 「役に立たなければ」という無意識の圧

手伝いを断れない、休むと申し訳ないと感じる人ほど、心の消耗が早く進みます。被災地では、真面目な人ほど先に限界を迎えていました。


■⑦ 心の疲れは遅れて現れる

発災直後は気が張っていても、数日〜数週間後に一気に疲れが出ることがあります。現場では、避難が長引いてから体調や感情が不安定になる人を多く見ました。


■⑧ 心が疲れるのは「弱さ」ではない

避難が長引いて心が疲れるのは、自然な反応です。被災地で学んだのは、心の疲れに早く気づけた人ほど、長期の避難生活でも自分を壊さずに過ごせていたという事実でした。

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