文部科学省の発表により、
教員の精神疾患による休職者が年間7000人超で高止まりしている現実が明らかになりました。
これは教育問題であると同時に、
被災地で学校・避難所・子ども支援に関わってきた立場から見ると、
明確な「防災リスク」でもあります。
現場視点を交えながら整理します。
■① 教員のメンタル不調は「例外」ではなく構造問題
教員の精神疾患休職は、
一部の個人の問題ではありません。
中学校では、
過労死ライン(月80時間残業)を超える教諭が8.1%に上るなど、
過重労働が常態化しています。
被災地でも、
「普段から限界状態の教員」が
災害対応に追われ、
心身ともに崩れていく場面を何度も見ました。
■② 教員不足は災害時に一気に表面化する
平時ですら教員不足が続く中、
休職者が増えれば、
授業が成り立たない学校も出てきます。
被災地では、
災害後に
・代替教員が見つからない
・学級が統合される
・子どもの居場所が失われる
といった事態が起きました。
教員の不調は、
そのまま子どもの生活不安につながります。
■③ 日本の教員は「何でも屋」になりすぎている
OECD調査では、
日本の教員の労働時間は
小学校で週52.1時間、
中学校で週55.1時間と参加国中最長です。
被災地で感じたのは、
授業以外の
・部活動
・生活指導
・保護者対応
・地域対応
まで教員が背負っている現実でした。
災害時には、
これらが一気に集中します。
■④ 「聖職意識」が防災上の弱点になる
教員は「我慢すべき」「自己犠牲が当然」という空気が、
今も残っています。
被災地では、
限界でも休めず、
支援を求められない教員ほど、
心身を壊していました。
我慢を前提にした組織は、
災害に弱いのです。
■⑤ 教員のメンタル不調は避難所運営にも影響する
災害時、
学校は避難所になります。
その運営を担うのは、
多くの場合、教職員です。
被災地では、
疲弊した教員が
・判断ミス
・情報共有不足
・感情的対応
に追い込まれる場面もありました。
教員の健康は、
地域全体の防災力に直結します。
■⑥ 対策は進んでいるが「格差」が大きい
部活動の外部委託や、
スクールカウンセラーなど
専門職の拡充は進められています。
しかし被災地では、
・地域間格差
・非正規雇用による不安定さ
が支援の弱点になっていました。
制度があっても、
現場に届かなければ意味がありません。
■⑦ 防災視点で重要なのは「人が壊れない仕組み」
防災というと、
物資やマニュアルが注目されがちです。
しかし被災地で最も脆かったのは、
人が限界状態のまま運用されている仕組みでした。
教員が健康で働けることは、
学校防災の前提条件です。
■⑧ 子どもは「大人の余裕」を感じ取る
教員の余裕がなくなると、
子どもは敏感に不安を感じます。
被災地では、
教員が追い詰められている学校ほど、
子どもの不安定さが強く出ていました。
教育の質と防災力は、
切り離せません。
■⑨ 教員の働き方改革は「防災改革」でもある
教員の精神疾患休職7000人超という数字は、
教育の危機であると同時に、
災害時に機能しなくなるリスクの警告です。
教員が壊れる学校は、
災害にも耐えられません。
働き方改革、専門職の配置、
役割の切り分け。
これらはすべて、
子どもと地域を守る防災対策です。
人を守れない仕組みでは、
命も守れない。
それが、
被災地で何度も突きつけられた
現実的で続けられる防災の教訓です。

コメント