【防災士が解説】防災×早期警報|「影響ベース予報」が命を救う理由

国連防災機関(UNDRR)が主導する「Early Warnings for All(EW4All)」は、災害が起きる前に“行動できる情報”を届けることを目的とした国際的な取り組みです。
その中核となっているのが「影響ベースの予報(Impact-based forecasting)」という考え方です。


■① EW4Allとは何か

EW4Allは、2022年に国連が提唱した国際イニシアチブで、

・2027年までに
・全世界を
・多重ハザード型の早期警報でカバーする

ことを目標としています。

地震、洪水、台風、山火事など、複数の災害を想定し、
「早く」「分かりやすく」「行動につながる警報」を世界中に届ける構想です。


■② 従来の予報の限界

これまでの防災情報は、

・雨量◯mm
・風速◯m
・震度◯

といった数値中心の伝え方が主流でした。

しかし現場では、
「数字は聞いたけど、結局どう動けばいいのか分からない」
というケースが数多くありました。

特に、
・防災リテラシーが低い地域
・紛争地や貧困地域
では、この課題が致命的になります。


■③ 影響ベース予報とは何が違うのか

影響ベース予報は、伝え方が根本的に違います。

・「雨量100mm」ではなく
・「◯◯地区で冠水、道路寸断、市場に行けず食料確保が困難」

というように、
生活への影響を具体的に言語化します。

これにより、
・考えなくても
・迷わなくても
・即行動できる

情報になります。


■④ 紛争地での研修と成果

UNDRR主導のEW4Allでは、

・シリア
・アフガニスタン

などの紛争地で、
NGO職員や現地当局を対象に研修が行われています。

研修内容は、

・リスクマップの作成
・影響ベース予報の作成演習
・SMSやラジオによる情報発信訓練

といった極めて実践的な内容です。

その結果、

・死亡率 約8分の1
・経済損失 約30%減

という明確な効果が確認されています。


■⑤ なぜ「影響」を伝えると命が守られるのか

被災地の現場では、

・判断を誤る
・動くのが遅れる

この2つが、被害を拡大させます。

影響ベース予報は、

・考える時間を減らし
・判断を単純化し
・行動を早める

ため、特に避難行動の初動で強い力を発揮します。


■⑥ 日本も無関係ではない

日本では、

・JICA
・気象庁

が中心となり、アジア太平洋地域でのEW4All支援に関わっています。

また国内でも、

・山林火災
・豪雨災害
・土砂災害

などで、影響ベースの考え方が徐々に取り入れられ始めています。

「◯時に避難準備」よりも
「このままだと◯地区で孤立が発生する」
という表現の方が、行動につながりやすいのです。


■⑦ 現場経験から見た価値

災害対応の現場では、
「伝えたつもり」
「知っているはず」
が通用しません。

伝わって、初めて意味がある。

影響ベース予報は、
机上の理論ではなく、
現場で生き残るための知恵です。


■⑧ 私たちの防災への示唆

この取り組みは、海外の話ではありません。

家庭や地域でも、

・「何mm降るか」ではなく
・「この地区は通れなくなる」
・「この時間帯は危険」

と置き換えるだけで、防災の質は一段上がります。


■まとめ|結論

結論:
「影響ベース予報」は、情報を“命を守る行動”に変える防災の進化形である。

数字を知る防災から、
影響を理解して動く防災へ。

これからの防災に欠かせない視点です。

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