近年、全国で林野火災が相次いで発生しています。地震や豪雨だけでなく、「雨が降らないこと」そのものが大きな災害リスクになる時代に入りました。こうした状況を受け、気象庁は2026年1月から林野火災を防ぐ新たな予防対策に乗り出します。
■① 全国で相次ぐ林野火災という現実
2025年2月、岩手県大船渡市で大規模な林野火災が発生しました。乾燥した山林に一度火が入ると、消火が追いつかず、長時間にわたり延焼が続く事態となりました。林野火災は住宅火災と違い、風や地形の影響を強く受け、被害が広域化しやすい特徴があります。
■② 背景にある「記録的な少雨」
この林野火災の背景には、長期間にわたる降水量の少なさがありました。土壌や落ち葉が極端に乾燥すると、火の回りは一気に速くなります。少雨は目に見えにくい災害要因であり、多くの人が危険性に気づきにくいのが実情です。
■③ 気象庁が動いた理由
相次ぐ林野火災を受け、気象庁は有識者による検討会を設置し、2025年8月に報告書を取りまとめました。その結果、「少雨時の早期注意喚起」が火災予防に不可欠であると結論づけられました。これまで気象情報は主に大雨や台風に焦点が当たっていましたが、今後は“乾燥”も重要な警戒対象となります。
■④ 2026年1月から始まる新たな取り組み
2026年1月から、30年に一度レベルの記録的な少雨が複数の地域で確認された場合、気象庁は消防庁・林野庁と合同で臨時会見を行います。会見では、火の取り扱いへの注意や、屋外作業・野焼きのリスクなどについて国民へ直接呼びかける方針です。
■⑤ 情報発信は気象情報+SNSへ
臨時会見だけでなく、気象情報やSNSを活用した発信も強化されます。テレビやラジオを見ない層にも情報が届くよう、多様な手段で注意喚起を行う点が特徴です。これは、災害情報の伝え方が「待ち」から「攻め」へ変わる象徴的な動きと言えます。
■⑥ 林野火災は「人の行動」で防げる災害
林野火災の多くは、たき火、野焼き、たばこの不始末など人為的要因が関係しています。乾燥した時期に火を扱う行為は、通常時とは全く異なるリスクを持ちます。少雨=危険という認識を社会全体で共有することが重要です。
■⑦ 私たちが今からできる備え
自分の住む地域が少雨傾向にあるかを気象情報で確認する、乾燥注意報が出ている時期は屋外で火を使わない、山林周辺では小さな火でもすぐ消す。このような日常行動の積み重ねが、林野火災を防ぎます。
■⑧ 防災の視点は「起きてから」から「起こさない」へ
今回の取り組みは、災害発生後の対応ではなく、発生そのものを防ぐことに重点を置いています。これは今後の防災の大きな方向性でもあります。気象情報を「逃げる合図」だけでなく、「危険を作らない合図」として使う意識が求められます。
■まとめ|乾燥は見えない災害のサイン
少雨は静かに進行し、ある日突然大きな被害を生みます。林野火災は、その典型です。
結論:
記録的な少雨を「異常」と捉え、火を使わない行動を取ることが林野火災を防ぐ最大の防災策である
防災士として、林野火災の現場で強く感じるのは「あと一つ行動が違えば防げた」という場面の多さです。2026年から始まる新たな注意喚起を、自分事として受け止めることが、命と自然を守る防災につながります。

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