近年、豪雨や大雪による被害が全国各地で深刻化しています。
そうした中、千葉大学や富山大学などの研究グループが、富山湾上空の雪雲にドライアイスを散布する実証実験を始めると発表しました。
これは「災害を防ぐために、雲を人為的に制御できないか」という、これまでにない防災アプローチです。
■① 実験の目的は「豪雨を事前に弱める」こと
この研究は、国の大型研究制度「ムーンショット型研究開発事業」の一環です。
狙いはシンプルで、
・雲が陸地に来る前
・海上で雨や雪を降らせる
・雲のエネルギーを弱める
ことで、都市部での豪雨被害を減らすという考え方です。
■② なぜ「雪雲」を対象にするのか
今回の予備実験では、夏の積乱雲ではなく、冬の雪雲が対象になっています。
理由は次の通りです。
・高度が低く観測しやすい
・構造が比較的安定している
・影響範囲を限定しやすい
まずは「制御できるかどうか」を確認するため、条件が比較的シンプルな雪雲が選ばれています。
■③ ドライアイス散布の仕組み
実験では、高度約3500メートルを飛行するプロペラ機から、
・直径約3ミリ
・20〜100キロのドライアイス粒
を雪雲に投下します。
ドライアイス(二酸化炭素)は周囲の水蒸気を急速に凍らせ、
雲の中で氷の粒を増やし、早めに雪や雨として落とす効果が期待されています。
■④ 地上への影響はあるのか
研究チームは、
・計算上、地上への影響はほぼ出ない
・ごく小規模な予備実験
と説明しています。
あくまで「雲の反応を観測する」段階であり、
意図的に大雨や大雪を起こす実験ではありません。
■⑤ なぜ今、こうした研究が必要なのか
背景には、地球温暖化による気象の激甚化があります。
・短時間豪雨の増加
・線状降水帯の頻発
・記録的豪雪
これまでの「予測して避難する防災」だけでは、
被害を抑えきれない場面が増えています。
■⑥ これは「夢の防災」か、それとも現実か
正直に言えば、
この技術がすぐに実用化されるわけではありません。
・技術的な課題
・倫理的な議論
・国際的なルール
乗り越えるべき壁は多くあります。
それでも、「災害を未然に弱める」という発想は、
これからの防災にとって重要な視点です。
■⑦ 私たちの防災が不要になるわけではない
重要なのは、
気象制御が進んでも、個人の備えは不要にならないという点です。
・想定を超える現象
・実験が及ばない地域
・突発的な災害
これらは今後も必ず起こります。
■⑧ 防災の本質は「多層構造」
これからの防災は、
・予測
・避難
・備蓄
・減災
・技術開発
を重ね合わせる「多層構造」が重要になります。
雲を制御する研究は、その最上流に位置する取り組みです。
■⑨ まとめ|防災は“守る”から“弱める”時代へ
雪雲へのドライアイス散布実験は、
まだ小さな一歩ですが、防災の考え方を大きく広げる試みです。
災害は止められなくても、
被害を小さくする努力はできる。
技術の進歩と、私たち一人ひとりの備え。
その両輪が、これからの防災を支えていきます。

コメント