火災現場での初動対応は、消火の成功だけでなく、人命救助にも直結します。特に現場経験の浅い消防士や一般市民が参加する防災訓練では、映像やシミュレーションを用いた学習が非常に効果的です。本記事では、火災防御の基本である「排煙・進入・検索」の手順とポイントを、具体的に解説します。
■排煙(Smoke Ventilation)の重要性
火災現場でまず行うのは排煙です。煙や有毒ガスが充満すると、視界が奪われ、呼吸困難や中毒の危険があります。
ポイント
- 窓や開口部の開放
- 上層階に煙が充満する前に、窓や換気口を順序立てて開放する
- 煙の上昇方向を確認
- 風向きや建物内の煙の動きを把握し、安全な排煙ルートを確保
- 段差や障害物への配慮
- 階段や壁、家具などを考慮しながら、煙が滞留しないよう誘導
排煙の目的は、隊員が安全に進入し、人命を救助できる環境を作ることにあります。
■進入(Entry)の基本手順
排煙を行った後、次に重要なのは建物への進入です。安全な進入経路と判断基準を明確にすることがポイントです。
進入条件
- 避難が必要な人がいることを確認
- フラッシュオーバーの危険が低いことを確認
- 床・壁・天井の安全性を確認
- 放水準備が整っていることを確認
進入の手順
- 外壁・窓枠の確認
- 残ったガラスや障害物を取り除く
- 体の全体が入るか確認
- 頭や足の通過を安全に行えるか確認
- 要救助者の有無を確認
- 進入前に周囲の状況を把握
- 床の安全確認
- 落下や損傷の危険がないかチェック
■検索(Search)の基本
進入後は、火災現場内での要救助者の探索です。効率的に、かつ安全に救助を行うことが求められます。
検索の優先順
- 寝室
- 居間
- 台所
- 浴室
濃煙や障害物がある場合、左手を壁伝いに探索することで安全性を確保します。
チームワーク
- 消火隊と救助隊で情報を共有
- 無線通信を使い、現場状況を互いに確認
- 指揮者の指示に従い、隊員全員が協力して行動
■シミュレーション訓練の活用
現場経験の少ない隊員には、映像シミュレーションが有効です。実際の火災現場を想定したコースを作り、排煙・進入・検索の手順を体験的に学習します。
- コース内に障害物を設置
- フラッシュオーバーや煙の発生を模擬
- 隊員が段階的に対応方法を学ぶ
こうした訓練を繰り返すことで、実際の火災現場での判断力と対応力が向上します。
■日常生活での応用
防災訓練の原則は、家庭や職場でも活かせます。
- 火災発生時の避難経路を確認
- 煙の充満に備えて窓やドアの開閉方法を把握
- 消火器や防火器具の位置を確認
日常からの意識づけが、いざという時の行動に直結します。
■まとめ
火災防御の基本「排煙・進入・検索」を理解することは、消火だけでなく、人命救助にも不可欠です。映像やシミュレーション訓練を通じて、現場経験が浅い隊員でも実践的な判断力を養うことができます。
- 排煙で煙を制御し、安全な進入環境を作る
- 進入時は安全確認と要救助者の状況把握
- 検索は優先順位を決め、チームで連携
- 日常生活でも避難経路や消火器の確認を行う
これらを徹底することで、火災発生時に命を守る行動が可能になります。

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