日本の地域防災を支えてきた消防団はいま、大きな転換点に立たされています。制度整備が進む一方で、団員数は減少し、担い手不足という深刻な課題に直面しています。
■① 消防団を中核とした地域防災力強化の歩み
「消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律」は、平成25年に制定されてから10年を迎えました。
この間、消防庁は地方公共団体等と連携し、消防団活動を支える環境整備や、自主防災組織を含む地域防災の担い手の強化に取り組んできました。
制度面では一定の前進が見られるものの、現場では別の課題が顕在化しています。
■② 団員数減少という厳しい現実
令和5年4月1日現在、全国の消防団員数は約76万3千人。
この10年間で10万人以上が減少しており、地域によっては団の存続自体が危ぶまれる状況も生じています。
少子高齢化、働き方の変化、地域コミュニティの希薄化など、構造的な問題が背景にあります。
■③ 能登半島地震で再認識された消防団の価値
令和6年能登半島地震では、地元消防団が自らも被災しながら、
・住民への避難の呼びかけ
・消防隊と連携した消火活動
・倒壊家屋からの救助
・避難所運営
など、発災直後から地域密着型の活動を展開しました。
この姿は、消防団が「最後に地域に残る防災力」であることを、改めて全国に示しました。
■④ 平時からの人材確保が防災力を左右する
大規模災害に対応するためには、発災時だけでなく平時の備えが不可欠です。
・女性
・学生
・若年層
・多様な職業の住民
こうした幅広い層の入団促進により、消防団員を安定的に確保し、地域防災体制を強化していく必要があります。
■⑤ 消防団単独ではなく「連携」が鍵
これからの地域防災では、消防団だけが頑張る形は限界を迎えます。
・自主防災組織
・自治会
・企業
・学校
など、地域防災を担う主体同士の連携を深めることが不可欠です。
消防団は、その中心的存在として機能することが期待されています。
■⑥ 国からの強いメッセージと具体的施策
こうした状況を踏まえ、総務大臣からは全国の都道府県・市町村に対し、
「消防団の更なる充実強化に向けて」という書簡が発出されました。
あわせて、
・消防庁長官通知(取組事項の明確化)
・取組事例集の発出
により、現場で即活用できる指針が示されています。
■⑦ 予算措置と処遇改善の動き
消防庁は、令和6年度当初予算案において、
・消防団の力向上モデル事業
を盛り込み、先進的な取組を後押ししています。
さらに、消防団員の処遇改善として、
「班長」階級以上の年額報酬について、特別交付税措置を拡充するなど、活動環境の改善も進められています。
■⑧ 消防団は「人が守る防災インフラ」
消防団は装備や制度だけでは成り立ちません。
地域を知り、人を知り、顔が見える関係の中で動ける「人そのもの」が防災インフラです。
南海トラフ地震や首都直下地震が危惧される今、
消防団の存在は、被害を減らす最後の砦となります。
■⑨ 次の10年に向けて必要な視点
消防団を守ることは、
・地域を守ること
・家族を守ること
・自分自身の命を守ること
につながります。
制度・予算・人材・理解。
そのすべてを少しずつ積み重ね、次の世代へ地域防災力を引き継ぐことが、いま強く求められています。

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