【防災士が解説】防災×消防現場|野次馬の無断撮影対策と現場安全の重要性

消防現場では、人命救助や消火活動の最中に無断撮影を行う野次馬の存在が、近年大きな社会問題となっています。スマートフォンやビデオアプリでの撮影は、被災者や傷病者のプライバシー侵害につながるだけでなく、現場の安全確保や指揮命令の妨げにもなります。

本記事では、野次馬による無断撮影の現状、法的な観点、そして消防現場での対策について、防災士の視点で解説します。


■野次馬による無断撮影の現状

スマートフォンの普及により、2007年以降、誰でも簡単に写真や動画を撮影・共有できる環境が整いました。2019年時点でiPhone登場から12年が経過し、日常生活の一部として撮影が行われるようになっています。

しかし、消防活動中における無断撮影は以下の問題を引き起こします。

  • 被災者の尊厳やプライバシーの侵害
  • 無線交信内容や指揮板情報の漏洩
  • SNSや動画サイトでの心ないコメントによる二次被害
  • 消防隊員の作業の妨げや安全リスク増大

事例として、ある消防本部では、野次馬が現場の無線交信や指揮板を録画し、SNSやYouTubeにアップロード。結果として、個人情報や病院名などが外部に露出してしまう事態が発生しました。


■法的な観点からの現状

現状、野次馬による無断撮影を直接禁止する法律は存在しません。消防活動中の撮影行為を明確に規制する法的手段が少ないため、現場でのトラブルが後を絶たないのが現状です。

一方で、悪質性の高い場合には既存の法律を利用することが可能です。

  • プライバシー侵害・肖像権侵害
    被災者や傷病者の映像を公開することで権利侵害とみなされるケースあり。
  • 建造物侵入罪や業務妨害罪
    救助活動や消火活動を妨げる行為として適用可能な場合がある。

JR新宿駅の事例では、人身事故の救出作業中に利用客がブルーシートの下からスマートフォンを差し込み撮影。駅員がアナウンスで注意喚起する事態となりました。このように、現場で即座に対応できる注意喚起や隔離策も重要です。


■消防現場での無断撮影対策

消防現場では、野次馬による撮影が隊員の安全や救助活動の効率に影響を与えるため、以下の対策が有効です。

  1. 現場遮蔽の徹底
  • ブルーシートやパーテーションで活動エリアを囲む
  • 外部から視界が入らないように配置する
  1. 現場警備員による監視
  • 活動エリア周辺に配置し、不審な行動を確認
  • 無断撮影者には口頭注意や退場を要請
  1. 注意喚起アナウンス
  • ホームページや現場アナウンスで撮影禁止を周知
  • SNSでの拡散防止を呼びかける
  1. 法的措置の準備
  • 悪質行為の場合は警察に通報
  • 業務妨害や肖像権侵害の適用を検討

■教育・広報による啓発

野次馬問題は、単なる現場対応だけでなく、社会全体への啓発も重要です。

  • 地域住民向け広報
  • 消防団や自治体広報で撮影マナーを周知
  • 「被災者の尊厳を守る行動」を啓発
  • 学校・企業での防災教育
  • 消防活動の現場を見学する際のルール教育
  • SNSへの無断投稿の危険性を学ぶ機会を提供

■野次馬撮影対策のまとめ

消防現場での無断撮影は、被災者への配慮不足や消防活動への支障という二重のリスクを伴います。現場では以下の対策が有効です。

  1. 遮蔽・隔離による視界の制限
  2. 現場警備員による監視と指導
  3. 注意喚起アナウンス・広報の徹底
  4. 法的措置や悪質行為への対応

これらを組み合わせることで、消防隊員の安全を確保しつつ、被災者や地域住民の尊厳を守ることができます。
日頃からの教育と意識啓発が、火災現場だけでなく、災害全般での安全管理に直結します。


参考・出典:一般社団法人 日本防災教育訓練センター
https://this.kiji.is/552453415621936225

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