「ちゃんと寝たのに疲れが抜けない」
「不安が止まらない」
「痛みに敏感でつらい」
それは“弱さ”ではありません。
近年の研究では、日本人は遺伝的にセロトニンの再利用効率が低いタイプ(S型遺伝子)を多く持つ傾向があると報告されています。
この特性は、疲れやすさ・痛みの感じやすさ・不安の強さと関連すると考えられています。
防災の視点で見れば、これは重要なテーマです。
なぜなら――
災害時、最初に崩れるのは「脳と心」だからです。
※本記事は医学的診断を目的としたものではありません。強い不安・抑うつ・不眠などが続く場合は医療機関へご相談ください。
■① 日本人は本当に疲れやすいのか?
セロトニンは
・前頭葉の働きを整える
・痛みを和らげる
・不安を抑える
という重要な役割を持つ神経伝達物質です。
S型遺伝子を持つ人はセロトニンの再利用効率が低く、ストレスに敏感になりやすいとされています。
日本人ではS型保有率が高いという研究報告があります。
つまり、日本人は
「疲れを感じやすい民族」である可能性があるのです。
■② それは“弱点”ではなく防災能力
歴史を振り返ると、日本は地震・台風・豪雨などの災害大国。
疲れやすい
不安を感じやすい
痛みに敏感
これらは実は
・異変に早く気づく
・危険を察知する
・無理を避ける
という「危機察知能力」でもあります。
防災の本質は「早く気づくこと」。
この特性は、災害国ではむしろ武器です。
■③ 災害時に起こる“脳疲労”
被災地派遣で感じたことがあります。
物資より先に崩れるのは
判断力と集中力です。
避難所で多かった訴えは
・眠れない
・頭が回らない
・些細なことでイライラする
これは典型的な脳疲労状態です。
セロトニン低下+慢性ストレス。
災害環境は脳にとって過酷なのです。
■④ 防災×脳を守る3つの基本
1. 朝の光を浴びる
セロトニン分泌を促進。
2. 軽い運動
避難所内ストレッチでも可。
3. リズムを守る
起床・食事・就寝時間を固定。
これは医学的にも推奨される基本的生活習慣です。
■⑤ 避難所でのメンタル対策
元消防職員として複数の避難所を見てきました。
長期避難では
「我慢強い人ほど崩れる」
傾向があります。
不安を感じやすいのは異常ではありません。
むしろ正常な防御反応です。
大切なのは
・一人で抱えない
・言語化する
・5分でも外気を吸う
この小さな積み重ねが回復力を守ります。
■⑥ 心と体を守るための大切な注意点
・強い抑うつ
・2週間以上続く不眠
・食欲消失
・動悸や過呼吸
これらがあれば医療相談を。
災害後はPTSDやうつ症状が増えることが知られています。
心の不調は「気合い」で解決しません。
専門家につなぐことも防災です。
■⑦ 日本人の“察する力”は最大の強み
日本人は
・空気を読む
・変化に気づく
・リスクを予測する
能力が高い民族です。
この特性があるからこそ
防災意識も高まりやすい。
疲れやすさは
「壊れやすい」ではなく
「守ろうとする力が強い」証拠です。
■⑧ 今日できる小さな備え
・朝5分、日光を浴びる
・防災リュックに好きな音楽を入れる
・睡眠時間を固定する
防災とは物資だけではありません。
脳と心を守る準備も“耐災害力”です。
■まとめ
日本人は疲れやすいかもしれません。
でもそれは
危険に敏感で
未来を想像できる力でもあります。
その力を正しく理解し
整え
活かすこと。
それが防災です。
自分の特性を知ることは、
不安を減らす第一歩。
あなたの“察する力”は、
これからの時代を守る大きな武器になります。
出典:奥村歩『10万人の脳を診てきた脳神経外科医が教える 脳を休めて整える習慣』(三笠書房)

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