【防災士が解説】防災×誤情報の拡散|なぜ災害時にデマが広がるのか?正しい情報を守るためにできること

災害の現場に立つと、揺れや津波よりも早く広がるものがあります。
それが “誤情報(デマ)” です。

能登半島地震、熊本地震、東日本大震災の派遣先でも、
・「動物園からライオンが逃げた」
・「ダムが決壊する」
・「津波がもう来ている」
といった誤情報が住民の避難行動を混乱させ、
結果的に逃げ遅れを生んだケースを何度も見てきました。

今回は、なぜ災害時にデマが広がるのか、
そしてその対策を防災士の視点で徹底解説します。


■① 災害直後は「情報の空白時間」が発生する

地震・津波の発生直後は、観測データが揃わず、
国も自治体も“確定した情報”を出せません。

この “5分〜20分の空白” が、デマ拡散の原因になります。

人は不安を埋めたくて、真偽よりも「分かりやすい情報」を求める。
空白が生まれると、その隙間にデマが入り込みます。


■② デマの特徴は「極端・感情的・即拡散」

災害時に広がる誤情報には共通点があります。

  • “すぐ逃げろ”など極端で不安を煽る
  • 情報源がない
  • 誰が言っているか不明
  • 写真が使い回し(過去災害の画像)
  • “友達の友達が言ってた” 形式

これらは90%以上が噓か誤解です。


■③ SNSが拡散装置になる

災害時はSNSの投稿数が普段の数十倍に跳ね上がります。

特にX(旧Twitter)はリアルタイム性が高いため、
・誤情報
・憶測
・古い写真
が一気に全国へ広がる。

防災士としての経験では、
災害時の“拡散力 No.1”はデマ です。


■④ 不安は“判断力”を奪う

人は不安を感じると、脳の冷静な部分が機能しにくくなります。

その結果──
・本当かどうか確かめず共有
・安心したくて良い情報だけ信じる
・避難判断が遅れる

「大丈夫だと思いたい心理」が命取りになる。
被災地支援の現場で痛感した共通点です。


■⑤ 正しい情報は必ず「専門用語」が含まれる

公式情報には必ず次のような用語が使われます。

  • 警戒レベル
  • 緊急地震速報
  • 津波警報
  • 震源情報
  • 氾濫危険水位
  • 避難指示

逆にデマほど曖昧な言葉が使われます。

❌「やばいらしい」
❌「逃げたほうがいいって聞いた」
❌「危険な噂を聞いた」

こうした“曖昧な危険情報”は真っ先に疑ってください。


■⑥ 公式情報の優先順位を統一する

家族で下記の優先順位を共有しておくと混乱しません。

1位:自治体の避難情報
2位:気象庁(地震・津波・気象)
3位:報道機関
4位:SNSの一次情報(参考)
5位:まとめ記事・噂話(無視)

現場でも、命が助かった家庭ほど
「この順で判断していた」共通点がありました。


■⑦ “誤情報を拡散しない人”になるための習慣

たったこれだけで安全性は飛躍的に高まります。

  • 情報源を必ず確認(どこ?誰?)
  • 写真は逆検索する(実は昔の災害写真が多い)
  • 情報は複数の公式機関で照合
  • 感情的な文章はシェアしない
  • 避難判断はSNSではなく自治体で行う

誤情報を広げない行動は、
間接的に“誰かの命を守る行動”になります。


■⑧ 最後に信じるべきは「情報」ではなく“行動”

災害時は、正しい情報が出る前に判断しなければならないこともある。

だからこそ──
迷ったら避難。これがすべてです。

能登派遣でも、
「SNSでは安全と言っていたから」
と避難が遅れた事例があり、胸が痛む思いをしました。

情報よりも行動が命を守ります。


■まとめ|情報の“洪水”の中でも正しい判断を

災害時の誤情報は避けられません。
しかし、対策すれば巻き込まれずに済みます。

  • 空白時間にデマが生まれる
  • 感情的で極端な内容は要注意
  • SNSは便利だが誤情報も爆速
  • 公式情報の優先順位を決める
  • 拡散前に必ず情報源を確認
  • 最後は「迷ったら避難」の行動力

結論:
誤情報を見抜き、必要な行動を選べる人ほど、生き残る確率が高い。 防災士として、これは数多くの災害現場で実感した“揺るぎない事実”です。

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