【防災士が解説】防災×貯蓄型保険|「守っているつもり」が非常時に動けない理由

将来の安心や老後資金を目的に選ばれる貯蓄型保険。
平時には「備えている感覚」を得やすい一方、災害時の現場では別の弱点が浮かび上がります。
防災では、「持っているか」より「すぐ動かせるか」が重要です。

この記事では、防災士の視点から、防災×貯蓄型保険を現実的に整理します。


■① 災害時に本当に必要なのは「即時性」

災害直後に必要になるのは、

・当面の生活費
・移動費
・仮住まい費用
・修繕や買い替え資金

これらは「今すぐ使えるお金」でなければ意味がありません。


■② 貯蓄型保険の前提は「長期保有」

貯蓄型保険は、次の前提で設計されています。

・長期間の積立
・途中解約は不利
・資金の引き出しに制約がある

平時の資産形成では問題がなくても、非常時には動きにくさが目立ちます。


■③ 防災士から見て多かった失敗

災害現場で多かったのは、次の声です。

・解約すると大きく減るので使えない
・手続きに時間がかかる
・結局、現金が足りない

「備えているはずなのに、使えない」というギャップが生じていました。


■④ 防災では「貯め方」より「使い方」が重要

防災の視点では、資産の評価軸が変わります。

・すぐ現金化できるか
・手続きなしで使えるか
・一部だけ使えるか

貯蓄型保険は、この点で不利になる場合があります。


■⑤ 行政が言いにくい本音

行政支援は、即時に十分な現金を配る仕組みではありません。
本音では、「各家庭が当面をしのげる資金を持っていてほしい」と考えています。

貯蓄型保険だけでは、この役割を果たしにくいのが現実です。


■⑥ 自律型防災と流動性の関係

自律型防災では、

・自分で決めて
・自分で動き
・自分で立て直す

ための資金が必要です。
流動性の低い資産は、判断と行動を遅らせます。


■⑦ 貯蓄型保険を持つなら防災的に考える

貯蓄型保険を否定する必要はありません。
ただし、防災視点では次の整理が必要です。

・生活防衛費は別で確保
・非常用資金は現金や即時資産で
・保険は長期資産と割り切る

役割分担を明確にすることが重要です。


■⑧ 安心感と行動力は別物

貯蓄型保険は、心理的な安心感を与えてくれます。
しかし災害時に求められるのは、

・迷わず使える
・すぐ動ける

という行動力です。
この二つは、必ずしも一致しません。


■まとめ|貯蓄型保険は防災資金にならない場合がある

貯蓄型保険は、将来に向けた備えとして意味があります。
しかし防災の視点では、「今、使えるか」という厳しい評価が必要です。

結論:
防災の観点では、貯蓄型保険は「備えている安心」ではなく「非常時に動かせるか」で評価すべきである。

防災士として現場を見てきた中で、
現金や即時に使える資金を確保していた家庭ほど、避難や再建の判断が早く、被害を最小限に抑えられていました。
備えは、使えてこそ意味があります。

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